紹介と人脈で顧問先を増やしてきたものの、これからの進め方が見えないと感じていませんか?名刺交換した経営者に事務所名を検索され、何も出てこない状態が気になる方もいるでしょう。
この記事では、社労士のホームページ制作で外せない8項目を軸に、受注につながる業務分野や顧問契約までの導線を解説します。広告ルールや開業前の準備、費用と依頼先の選び方も対象です。
自事務所に必要な構成と予算の見当がつき、依頼先へ相談するときの判断軸を持てる状態になります。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。
社労士にホームページ制作が必要な理由
紹介と人脈で顧問先を増やしてきた事務所ほど、これからの進め方に迷う場面が出てきます。全国社会保険労務士会連合会の2024年度社労士実態調査では、開業社労士が職業生活で感じる不安として「顧客獲得の難しさ」を挙げた割合が63.7%にのぼりました。
ホームページは、その不安に対して打てる手の一つです。ここでは、社労士にホームページ制作が必要な理由を2つの角度から解説します。
名前で検索されたときの受け皿になるから
ホームページは、事務所名を検索されたときの受け皿になります。同じ調査で発信方法として最も多かったのは事務所ホームページの開設で39.9%、一方で特段の発信をしていない事務所も50.8%にのぼりました。
半数の事務所は、外向けに発信している情報がありません。名刺を渡した経営者が事務所名を検索したとき、何も表示されなければ判断材料を渡せません。
社会保険労務士総合研究機構が2017年に公表した報告書(調査は2015年実施)では、新規顧客の来訪パターンでほかの士業や専門家からの紹介が68.1%、ホームページ経由が22.7%でした。企業側は複数の候補と面談したうえで判断する傾向もあります。
紹介が入り口でも、相手は契約前に情報を確かめます。
開業社労士が増えて埋もれやすいから
社労士の登録者数は増え続けており、事務所名だけでは違いが伝わりにくくなっています。連合会の令和7年度事業報告書によると、個人会員は令和8年3月31日現在で47,165人となり、前年同日から928人増えました。うち開業は25,136人です。
登録者数は1990年3月31日の17,433人から一貫して増加しています。同じ地域に同じ資格をもつ事務所が並ぶ状況では、依頼者は何を基準に選べばよいか迷います。
そこで手がかりになるのが、事務所ごとの得意分野や対応の姿勢です。ホームページで扱う業務や実績を示しておけば、資格名だけでは伝わらない違いを説明できます。
社労士のホームページで信頼を示す4項目
社労士事務所のホームページに載せる要素は、大きく8つに整理できます。前半の4つは事務所への信頼を伝える項目、後半の4つは相談への一歩を後押しする項目です。
順番に埋めていけば、依頼を検討している経営者が知りたい情報がひととおりそろいます。まずは、信頼を伝える4項目を確認していきます。
代表者のプロフィールと経歴
1つ目は、代表者のプロフィールと経歴です。経営者は資格の有無ではなく、労務の相談を任せられる相手かどうかを見ています。
そのため顔写真と氏名に加えて、社労士になる前の職歴や実務経験を書きましょう。人事部での勤務経験、給与計算の担当歴、特定社会保険労務士の付記などを添えると、対応できる範囲が伝わります。
開業年や登録番号も忘れずに載せましょう。正式に登録された事務所である点が同時に示せます。経歴を並べるだけで終わらせず「どんな相談を受けてきたか」を一文添えると、読み手が自社の悩みと重ねられます。
書きにくい場合は、これまで受けた相談を3つ思い出し、それぞれの背景を短くまとめる方法から試しましょう。
関連記事:会計事務所のホームページ制作|費用・内容・依頼先選びまで解説
選ばれる強みと専門分野
2つ目は、事務所の強みと専門分野です。社労士の業務は手続き代行から相談対応まで幅広く、すべてを同じ熱量で打ち出すと印象がぼやけます。
2024年度社労士実態調査では、開業社労士の売上構成比は手続業務が41.5%、労働および社会保険に関する相談業務が14.3%、給与計算業務が14.2%でした。各種規程の作成や改定は10.4%です。
売上の柱になっている業務を前に出すと、事務所の訴求がそろいます。強みは「対応が早い」といった漠然とした言葉より、対応業種や企業規模で示すほうが伝わります。
同調査では顧問先の従業員規模は29人以下が63.9%を占めており、小規模企業を主な相談相手と想定した書き方が自然です。
顧問先から寄せられた声
3つ目は、顧問先から寄せられた声です。第三者の評価は、事務所が自ら語る説明よりも判断材料になります。
掲載する際は、業種と従業員規模、依頼したきっかけ、依頼後に変わった点の3点を入れると読み手に伝わります。氏名を出せない場合でも「製造業・従業員20名」のように属性だけ示せば十分です。
注意したいのは、事業者が自ら書いた文章を第三者の声のように見せる書き方です。消費者庁は令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告と判別しにくい表示を、ステルスマーケティングとして景品表示法違反の対象にしました。
掲載の許可を得て、実際に受け取った言葉をそのまま載せる運用を徹底しましょう。
事務所概要とアクセス
4つ目は、事務所概要とアクセスです。所在地と対応エリアは、地域名を含む検索で見つけてもらううえでも必要な情報になります。
事務所概要に入れるのは、事務所名・所在地・電話番号・営業時間の4点です。所属する都道府県会も書き添えると、経営者が確かめたいときの照会先が伝わります。
対応エリアは自治体名まで書きましょう。「◯◯市の社労士」と探している経営者の検索に合い、近隣からの相談を拾えます。オンライン対応の可否も添えておけば、遠方からの依頼にもつながります。
地図を埋め込むかどうかは、来所の有無で決めれば十分です。訪問が中心の事務所なら、最寄り駅からの経路も載せましょう。
社労士のホームページで相談を促す4項目
信頼を伝える4項目がそろったら、次は相談への一歩を後押しする4項目です。経営者が「この事務所に頼めそうだ」と感じたあと、実際に連絡するまでの距離を縮める要素になります。
ここでは、依頼の判断材料と連絡手段にあたる残り4項目を整理します。
取扱業務ごとのサービス内容
5つ目は、取扱業務ごとのサービス内容です。業務名を並べただけのページでは、経営者は自社の困りごとが当てはまるか判断できません。
たとえば、就業規則の作成なら現行規程の確認から意見書の取り付け、労働基準監督署への届出までのどこを引き受けるのかを書きます。所要期間の目安と、依頼者側で準備してもらう資料も添えておきましょう。
業務ごとにページを分けると、検索から直接その業務のページへ流入する経路も生まれます。ページ数を抑えたい場合は、1ページ内で見出しを分けて整理する方法でも効果は出ます。
まずは受注件数の多い業務から順に、内容を書き起こしていきましょう。
顧問料と単発依頼の料金目安
6つ目は、料金の示し方です。社労士の報酬基準は法改正で廃止されており、業界共通の相場は存在しません。
そのため相場を探して合わせるのではなく、自事務所の料金の考え方を示しましょう。連合会の会則第43条の3は、依頼を受けるにあたり業務内容や報酬などを書面の交付などで明示し、十分に説明するよう求めています。
ホームページでの料金提示は、この説明義務を前倒しで果たす手段になります。顧問契約は従業員規模別の月額、単発の手続きや規程作成は業務別の料金と、分けて示すのが親切です。
金額を確定できない業務は「別途お見積もり」とし、見積もりの前提条件だけでも示しましょう。
労務の疑問に答えるコラム
7つ目は、労務の疑問に答えるコラムです。顧問先を探している経営者は、契約相手を探す前に目の前の困りごとを検索します。
そこで法改正の解説や、実務でよく受ける質問への回答を記事として置いておくと、検索から事務所を知ってもらう入り口になります。年次有給休暇の取得義務、社会保険の加入範囲、育児介護休業の手続きなど、相談の多いテーマから着手しましょう。
更新が負担になる場合は、月1本を上限に決めるほうが続けやすい進め方です。書きためた記事は、相談を受けたときに「詳しくはこちらにまとめています」と案内できる資料にもなります。記事の末尾に問い合わせ窓口への案内を置くと、読んだ経営者がそのまま相談へ進めます。
相談を受ける問い合わせ窓口
8つ目は、相談を受ける問い合わせ窓口です。ここまでの7項目で関心をもった経営者が、最後に迷わず連絡できるかどうかで結果が変わります。
窓口には、電話番号だけでなくフォームも用意しましょう。経営者が社労士を探すのは業務時間中とは限らず、フォームがあれば時間を選ばずに送れます。
入力項目は氏名・連絡先・相談内容の3点程度に絞り、途中で離脱されない構成にまとめましょう。項目が10個も並ぶフォームは、書き始める前に閉じられてしまいます。
送信後の自動返信メールも設定しておきましょう。届いた実感があるだけで、経営者の不安はやわらぎます。
参考になる社労士のホームページ制作の事例
社労士事務所のホームページは、事務所の段階によって必要な構成が変わります。2024年度社労士実態調査では、開業社労士の顧問契約社数は0社が16.5%、1〜9社が28.2%で、中央値は10社でした。
顧問先の数がひと桁の段階と、そこから増やす段階では、ホームページに求める役割が異なります。ここでは、2つの段階に分けて構成の考え方を紹介します。
開業直後の一人事務所
開業直後は、事務所の存在と扱う業務を伝える構成が中心になります。ページ数を増やすより、最小限の構成を確実に作るほうが先です。
先にそろえるページは、次の5つです。
- トップページ
- 代表者紹介
- 取扱業務
- 料金
- 問い合わせ
まずはこの5ページを公開の最低ラインと考えましょう。
この段階では実績がまだ少ないため、前職の経験や研修歴で対応力を示します。実績欄を空白のまま公開するより、これまでの職歴を根拠として書いたほうが、読み手は判断できます。
問い合わせ窓口は、電話とフォームの両方を目立つ位置に置きましょう。名刺交換のあとに検索した相手が、そのまま連絡できる状態を作っておく設計です。
公開後は、受けた相談をコラムに書き起こして少しずつ厚みを足していきます。
顧問先を増やす段階の事務所
顧問先がひと桁から二桁に増える段階では、選ばれる理由を伝える構成へ切り替えます。取扱業務ごとにページを分け、業種別や課題別の入り口を用意しましょう。
顧問先から寄せられた声や解決事例を追加すると、紹介を受けた相手が確認したときに効きます。この段階では料金の考え方も従業員規模別に整理し、見積もり前の目安まで示しましょう。
記事を継続的に更新する体制を作れるかどうかが、この段階での分かれ目になります。更新が続く事務所ほど、検索からの流入は積み上がります。
自事務所で更新しきれない場合は、制作会社の運用支援を含めた契約に切り替える判断も現実的です。
社労士がホームページで受注しやすい業務
社労士の業務は幅広く、すべてを均等に打ち出すとホームページの訴求がぼやけます。成果が出るのは、検索から相談へ届く分野に絞って厚く書いた場合です。
ここでは、開業して間もない事務所でも受注につながる3つの業務を見ていきます。
就業規則の作成と見直し
1つ目は、就業規則の作成と見直しです。労働基準法第89条により、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出る義務があります。
届出の際は、労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添付します。必ず記載しなければならない事項は次の3つです。
- 始業終業の時刻と休憩・休日・休暇
- 賃金の決定・計算・支払方法と昇給
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
従業員が10人に近づいた企業は、規程の整備を迫られる時期を迎えます。2024年度社労士実態調査では、各種規程の作成や改定の需要が「増えた」とする割合が66.2%で、業務のなかでも高い水準でした。
ホームページには、届出までの流れと引き受ける範囲を明記しましょう。
助成金の申請サポート
2つ目は助成金の申請サポートで、検索からの初回接点になる分野です。ただし、2024年度社労士実態調査での助成金業務の売上構成比は4.8%で、需要が伸びたとする割合も42.1%にとどまりました。
書き方には注意が必要です。厚生労働省は、雇用関係助成金の不正受給に関与した社労士は事業主と連帯して返還義務を負い、決定日から原則5年間は雇用関係助成金の申請が受理されないと示しています。
全額が返納されていない場合、この期間はさらに延びる扱いです。氏名と事業所名の公表対象にもなります。
そのため受給できる金額だけを前面に出す書き方は避け、要件を満たさなければ受給できない点を必ず添えましょう。対応できる助成金の種類と、申請前に確認する要件を並べる構成が適しています。
労務トラブルの初動相談
3つ目は、労務トラブルの初動相談です。厚生労働省の令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況では、総合労働相談件数が119万8,010件と18年連続で100万件を超えました。
このうち民事上の個別労働関係紛争の相談は27万7,053件で、内容別では「いじめ・嫌がらせ」が5万5,614件と14年連続で最多です。2024年度社労士実態調査でも、労働および社会保険に関する相談業務は需要が伸びたとする割合が71.5%と最も高い水準でした。
トラブルは突発的に起きるため、経営者は顧問先を持たないまま検索で相談先を探します。相談の受付方法と初回相談の費用の有無を書いておくと、その場で選ばれる可能性が上がります。
対応できないケースの線引きも一緒に載せると、問い合わせの精度が上がるでしょう。
ほかの士業から紹介される社労士のホームページ
社労士の新規顧客は、税理士や既存の顧問先からの紹介で生まれる場合があります。先に触れた社会保険労務士総合研究機構の2015年の調査でも、ほかの士業や専門家からの紹介が68.1%と最も高い結果でした。なお、最新の実態調査には顧客獲得経路を尋ねた設問はありません。
ここでは、紹介が生まれる導線をホームページ側で用意する方法を解説します。
税理士に説明しやすい業務範囲
税理士や弁護士が顧問先へ社労士を紹介する場面では、まず「どこからが社労士の仕事か」の説明が要ります。社会保険労務士法第27条は、社労士以外の者が報酬を得て労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成や手続き代行を業として引き受けるのを制限しています。
紹介する側が迷わないよう、引き受けられる業務と範囲外の業務を並べて示しましょう。助成金申請の代行や就業規則の作成、労働社会保険の手続きは社労士が引き受けられる業務です。
このうち申請書類の作成や手続き代行は独占業務で、給与計算はほかの事業者も扱えます。税務申告や登記は範囲外です。
令和7年6月に公布された改正では、労務監査に関する業務が社会保険労務士法に明記されました。条文に改めて位置づけられた業務である点も、紹介元に伝わるよう書き添えましょう。
紹介者が確認する経歴と実績
紹介を受けた経営者は、紹介者の言葉だけで判断するとは限りません。社会保険労務士総合研究機構の報告書も、紹介だけでは当該社労士の業務上の実績や人柄を判断する材料に乏しいと指摘しています。
その不足を埋めるのがホームページです。実績は件数だけでなく、業種と企業規模、扱った課題の3点で書くと説明の材料になります。
紹介元が使いやすいのは、分野ごとに整理された実績です。相談内容が近い事例をすぐ取り出せるよう並べておくと、紹介の場での説明が進みます。連携している専門家を紹介ページに載せる方法もあります。
社労士のホームページで顧問契約につなげる導線
ホームページを公開しても、問い合わせが顧問契約へ育たなければ成果にはなりません。社労士の場合、初回相談や単発業務を入り口に顧問契約へ進む流れもあります。
ここでは、その流れをページでどう見せるかを2つの観点から整理します。
初回相談への入り口の置き方
問い合わせフォームがあるだけでは、経営者は連絡をためらいます。何を相談してよいのか、費用がかかるのかがわからないためです。
初回相談の範囲と費用、所要時間を明記しておくと、最初の連絡までの心理的な距離が縮まります。「初回60分無料・オンライン可・就業規則の相談も可」のように条件を書きます。
相談内容の例を3つほど添えると、経営者は自社の状況に当てはめて考えられるでしょう。全国の社会保険労務士会にも無料の総合労働相談所が置かれているため、無料相談と比べて選ばれる理由を示す視点も必要です。
返信までの目安時間を添えておくと、送信後の不安も減らせます。
顧問契約までの流れの明示
顧問契約は、初回相談からその場で決まる依頼ではありません。社会保険労務士総合研究機構の報告書(調査は2015年実施)では、顧問契約を結んだあとにまず着手する業務として雇用保険・労災保険の手続きや就業規則の作成が上位に挙がりました。そこから相談業務へ広がる流れも示されています。
この流れをそのままページに書くと、経営者は契約後の姿を想像できます。相談・見積もり・単発業務の依頼・顧問契約の4段階を箇条書きで示す方法が有効です。
2024年度社労士実態調査では、開業社労士の顧問契約社数は平均33.2社、中央値10.0社でした。平均と中央値の差が大きく、顧問先の数は事務所によって開きがあります。入り口を単発業務に置く設計も検討しましょう。
社労士のホームページで守る広告ルール
「社労士は広告に制限が多い」と聞いて、書ける範囲に不安を感じる方もいるでしょう。実際には、社労士の広告は原則として自由です。
ただし、守るべきルールは残っており、知らずに違反すると信用を損ないます。ここでは、根拠と注意点を3つに分けて解説します。
原則自由とされる根拠
社会保険労務士法には、広告や宣伝を直接制限する条文はありません。関連するのは第1条の2の職責、第16条の信用失墜行為の禁止、第25条の30の会則遵守義務です。
広告のルールは、法律が会則の遵守を義務づけ、その会則が広告の禁止事項を定める二段構造になっています。公正取引委員会の「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」も、社労士を含む8資格が対象です。
同ガイドラインは、資格者団体が会員の広告について媒体・回数・場所・内容を制限すると独占禁止法違反のおそれがあると述べています。報酬額の広告を一律に禁止した例も、問題となる想定例に挙げられました。一方で虚偽や誇大な広告を排除する規制は、原則として問題になりません。
誇大な表現と虚偽の記載
連合会の会則第43条の4第3項は、誇大または虚偽の事項により相手方を欺くおそれがある方法での広告や宣伝を禁止しています。同条第4項の対象は、承諾を得ない電子メールでの広告送信です。
茨城県社会保険労務士会は、公式のよくある質問で不適切な表現を挙げています。避けたい書き方は次のとおりです。
- 受給率や成功率の数値表示
- 「100%味方です」などの断定
- 受給例の金額だけの掲載
- 登録名と異なる屋号での広告
登録された事務所名と異なる屋号での広告は、実在しない事務所名での虚偽広告にあたると同会は説明しています。連合会も平成27年に会長声明を出し、不適切な情報発信への注意を促しました。
書き方に迷ったときは、公開前に所属する都道府県会へ確認しましょう。
報酬を事前に明示する義務
会則第43条の3は、勧誘の段階と依頼を受ける段階の両方で説明を求めています。勧誘の前に伝えるのは氏名・勧誘の目的・業務内容で、依頼を受ける際にはそこへ報酬を加えて書面の交付などで説明します。
報酬の提示は禁止どころか、依頼者へ事前に伝えるべき事項です。先に触れた公正取引委員会の考え方も、報酬額の広告を一律に禁じる扱いを問題としています。
そのため料金ページを設けるのは、ルール上まったく問題のない対応です。むしろ金額をいっさい示さないほうが、経営者は問い合わせをためらいます。
掲載した料金は改定のたびに更新し、契約時に交付する書面との食い違いを防ぎましょう。
社労士が開業前から進めるホームページ準備
ホームページを開業後に落ち着いてから作ろうとすると、公開は数か月先になります。制作には期間がかかり、登録手続きにも決まった流れがあるためです。
ここでは、開業日から逆算した進め方と、登録前に注意したい表記を確認します。
開業日から逆算して依頼する
ホームページは、登録が済んでから作り始めると公開が遅れます。制作期間はページ数や掲載内容によって幅があり、1〜3か月程度が目安です。
登録側のスケジュールも動きます。東京都社会保険労務士会では新規登録に研修会への参加が必要で、登録は参加の翌月1日付です。流れは都道府県会で異なるため、入会予定の会へ確認しましょう。
開業日が決まった時点で制作を打診し、原稿づくりを登録手続きと並行させると、開業月に公開できます。登録申請は令和7年7月15日からマイナポータルを通じたオンライン申請も始まりました。
登録には登録免許税と手数料が各30,000円かかり、入会金や年会費も別途必要です。制作費と重なるため、資金計画に含めましょう。
関連記事:【開業直後】行政書士のホームページ制作|費用相場と実績の伝え方を解説
登録前は名称の使い方に気をつける
登録が完了する前に「社労士」を名乗るのは避けましょう。社会保険労務士法第26条は、社会保険労務士でない者が社会保険労務士や社労士、その他これに類似する名称を用いるのを禁じています。
令和7年6月25日に公布された改正で、類似名称の例として「社労士」「社労士法人」が条文に明記されました。この部分は、公布日から起算して10日を経過した日に施行されています。
違反した場合は、第33条第3号により100万円以下の罰金の対象です。公開日を登録日以降に設定するか、登録前は準備中である旨を明示する運用が安全になります。
ドメインの取得や原稿づくりは登録前でも進められるため、公開のタイミングだけを管理しましょう。
社労士のホームページ制作にかかる費用
ホームページ制作の費用は、依頼先と作り方で大きく変わります。公的な統計はないため、判断材料は複数社の見積もりです。
ここでは、価格帯の目安と補助金の使いどころを紹介します。
制作方法ごとの価格帯
ホームページ制作費の公的な統計は見当たりません。中小機構のビジネスQ&Aも金額を示さず、複数社を比較して妥当性を確認するよう勧めています。
そのうえで士業向けの価格帯を整理すると、無料ツールでの自作は0円から、テンプレートを使う最小構成は10〜30万円が目安です。WordPressのテンプレート活用は30〜80万円、デザインから作り込む方法は80〜180万円になります。
開業直後の一人事務所であれば、10〜80万円台が検討の中心です。運用費は自己管理で年5,000〜20,000円程度、保守の外注で月5,000〜20,000円程度が目安です。
初期費用30万円で月5,000円の納品型と、月15,000円の月額制なら30か月ほどで総額が並びます。初期費用が大きいほど並ぶ時期は先になります。
関連記事:士業のホームページ制作の費用相場は?格安と集客型の違いを解説
補助金を使える条件
ホームページ制作は、小規模事業者持続化補助金の対象になります。一般型 通常枠の第20回は、補助上限50万円・補助率3分の2です。インボイス特例に該当すると、上限が50万円上乗せされます。
ただし、ウェブサイト関連費には2つの制限があります。補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。ほかの販路開拓の経費と組み合わせる必要があります。
第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時までです。以前の公募回にあった「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)まで」の基準は現在の要領にはないため、古い解説に注意しましょう。
なお、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は、ホームページ制作費が補助対象経費の一覧に含まれません。
社労士に強いホームページ制作会社の選び方
制作会社は数多く、料金だけで比較すると公開後に困る場面が出てきます。社労士の場合は、業務範囲と広告ルールを理解しているかどうかが判断の軸です。
ここでは、見積もりを取る前に確かめたい2つの視点を整理します。
業務を理解しているか確認する
制作会社を選ぶときは、社労士の業務範囲を理解しているかを確かめましょう。就業規則や助成金、労働社会保険の手続きは、書き方を誤ると広告ルールに触れる領域です。
中小機構は、外注先の選定基準を規模の大小ではなく、親身にニーズへ応えるサービスと知識があるかどうかだと示しています。士業の制作実績があるか、広告表現の相談に乗れるかを、見積もりの前に確認しておきましょう。
原稿を丸ごと外注するのは避けたほうが安全です。同機構も、社外の専門業者はホームページ作成のプロであっても依頼者のビジネスは知らないとして、社内での原稿作成を勧めています。
相見積もりの前に、目的・掲載内容・ページ数・希望納期を整理しましょう。
公開後に自分で更新できるか確かめる
ホームページは公開して終わりではありません。中小機構も、制作はホームページ運営のスタートに過ぎず、継続して運営できる体制づくりが必要だと述べています。
コラムの追加や料金改定を自事務所で反映できるかは、契約前に確認しておく項目です。更新のたびに費用が発生する契約だと、法改正のたびに手が止まります。
管理画面から文章と画像を差し替えられるか、更新の手順書があるかを、契約前に必ず聞いておきましょう。保守を外注する場合も、対応範囲と月額を書面で確認します。
関連記事:ホームページ制作をフリーランスに依頼するメリットは?費用や流れも解説
社労士のホームページ制作について解説しました
社労士のホームページ制作では、代表者のプロフィールから問い合わせ窓口まで8項目をそろえる作業が土台になります。そのうえで、就業規則や助成金など受注につながる業務を前に出しましょう。
初回相談から顧問契約までの流れを見せる構成にすると、成果が変わってきます。広告は原則自由ですが、誇大・虚偽の表現の禁止と報酬の事前明示義務は残ります。
料金ページを設けるのはルール上問題のない対応なので、金額の考え方を示しておきましょう。まずは開業日から逆算して制作の相談時期を決め、書ける要素から原稿を起こす進め方が現実的です。
費用や補助金の使い方、公開後の更新体制まで含めて相談したい場合は『レノワード企画』へご相談ください。
参考サイト
- 社会保険労務士法|厚生労働省
- 社会保険労務士制度|厚生労働省
- 社会保険労務士法の一部を改正する法律(令和7年法律第77号)の概要|厚生労働省
- 令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況|厚生労働省
- 雇用関係助成金の不正受給について|厚生労働省
- 就業規則の作成・変更・届出の義務(第89条、第90条、第92条)|栃木労働局
- 資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方|公正取引委員会
- 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。|消費者庁
- ホームページ制作会社はどのように選定したらよいでしょうか。|J-Net21(中小機構)
- 失敗しないためのホームページ作成依頼の方法はありますか?|J-Net21(中小機構)
- デジタル化・AI導入補助金2026の公募要領(通常枠)|中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局

