鍼灸院のホームページ制作で集患は増える?自費単価を上げる7つの設計

鍼灸院のホームページ制作で集患は増える?自費単価を上げる7つの設計

鍼灸院のホームページを作ろうと調べ始めると、費用の幅が広すぎて判断がつかないのではないでしょうか。あはき法の広告規制も気になり、何をどこまで書けるのかで手が止まる院長も少なくありません。

この記事では、鍼灸院のホームページ制作にかかる費用相場と、ガイドラインが定める掲載必須項目・使えない表現・表記ルールを整理します。自費単価と再来につながる7つの設計、ポータルに頼らない集患の手順、制作会社の選び方も解説の対象です。

費用の見当をつけ、公開前に直す場所を洗い出すところまで、この記事1本で進められます。

※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています(はり・きゅう療養費は、2026年7月1日以降の施術から改定されています)。

鍼灸院のホームページ制作で集患は増える?

鍼灸院のホームページを作れば患者が増えるのか、費用をかける前に見極めたいところでしょう。結論からいえば、ホームページ単体で来院数が伸びると保証はできません。ただ、来院を迷っている人が最後に見る場所として機能させれば、予約につながる確率は変えられます。

まずは、ホームページが集患のどこで働くのか、施術所が増え続ける市場でどう位置づけるのかを見ていきます。

ホームページが集患で担う役割

鍼灸院のホームページは、新しい患者を見つけてくる装置ではなく、迷っている人に最後の判断材料を渡す場所です。ポータルサイトや口コミ、紹介で名前を知った人が、施術内容や料金、院の雰囲気を確かめにきます。

参考になる数字として、厚生労働省の令和5年受療行動調査があります。外来患者が医療機関の情報を得る先で最も高いのは「家族・友人・知人の口コミ」の68.4%でした。次いで「医療機関が発信するインターネットの情報」が28.8%と続きます。

ただし、この調査の対象は全国の一般病院を利用する患者で、鍼灸院などの施術所の利用者は含まれていません。数字をそのまま自院に当てはめられない点には注意が必要です。それでも、口コミで名前を知った人が発信元の情報を見に行く流れは、鍼灸院でも起こりうると考えられます。

施術所数の増加で強まる集患競争

はり・きゅうの施術所は、令和6年末時点で全国に35,494か所あります。前回調査から1,604か所、率にして4.7%増えました。

同じ期間にあん摩マッサージ指圧のみの施術所は2.7%減っており、あはきの業態では鍼灸を掲げる施術所だけが伸びている状況です。就業しているはり師は136,736人、きゅう師は134,730人で、こちらも4%前後の増加でした。

この統計は隔年で公表されるため、ウェブ上には2年前の数字が最新として載ったままの情報も残っています。競合が増える環境では、料金や立地の条件だけで比べられると価格勝負になりがちです。自院が何を得意とし、どんな症状の人に向いているのかを言葉にして示す場所として、ホームページの役割が重くなります。

患者が来院を決めるまでの流れ

鍼灸院の患者が来院を決めるまでの行動を調べた公的な統計は、確認できませんでした。先に挙げた受療行動調査も、対象は一般病院を利用する患者です。

そのため、来院の流れを断定的には語れません。ただ、ホームページに何を置くべきかを考えるうえでは、患者が確認したい情報から逆算する方法が有効です。

たとえば「腰痛 鍼灸 ◯◯市」と検索した人は、その症状を扱っているか、いくらかかるか、初回に何をするのかを順に確かめます。ここで料金が書かれていなければ、金額を聞くために電話するより、料金を載せている別の院を見に行く可能性があります。

鍼灸院のホームページ制作の費用相場

ホームページ制作の費用は、料金体系によって支払い方が大きく変わります。まとまった初期費用を払って作り切る買い切り型と、初期を抑えて月額で使い続けるサブスク型では、3年後の総額も所有権も別ものです。

自院の資金繰りに合う選択ができるよう、初期費用・月額費用・公開後にかかるコストの3つに分けて解説します。

買い切り型の初期費用

買い切り型は制作費を最初にまとめて支払い、完成したサイトは自院の資産になります。初期費用の目安は、テンプレートを使う制作で5〜30万円、写真や原稿を作り込むセミオーダーで30〜80万円、独自デザインのフルオーダーで80〜200万円ほどです。

治療院向けに料金を公開している会社では、実際の価格帯はもう少し下から始まります。接骨院・鍼灸院向けサービスの初期3万円台(税別)、業界団体が治療院向けに公開しているプランの制作料金275,000円(税込)が一例です。

金額の幅を決めるのは、ページ数と、原稿や写真をどちらが用意するかです。院長が原稿を書き、スマートフォンの写真を使えば安く収まりますが、施術の合間に文章を書く負担は小さくありません。見積もりを比較するときは、金額だけでなく作業の分担も見ましょう。

関連記事:整骨院のホームページ制作で失敗を避けるには?費用と選び方を解説

サブスク型の月額費用

サブスク型は初期費用を抑え、月額を払い続けて使います。鍼灸院向けのパックは初期65,780円・月額6,490円(いずれも税込)です。治療院向けのサービスには、初期費用を0円にする代わりに月額22,000円(税込)まで上がるプランもあります。パック型のプランに限れば、月額の中心帯はおおむね数千円台です。

初期の負担が軽いぶん、契約中は支払いが続きます。月額1万円を3年払えば総額36万円ほどで、買い切り型の中位プランと変わりません。

もう一つは所有権です。サブスク型は契約している間サイトを借りて使うイメージに近く、所有権は制作会社側に残る契約が中心になります。解約するとホームページが公開停止になり、データも削除される場合があるため、契約書で解約後の扱いを読んでおきましょう。

関連記事:ホームページサブスクと買い切り型の違いとは?費用や選び方を解説

制作費以外の運用コスト

ホームページは公開したあとも費用がかかります。買い切り型で作った場合、サーバー代とドメイン代、保守や更新の費用を自院で負担します。

サーバー代は、共有型のレンタルサーバーで月額1,000円前後が実勢です。契約期間を長くするほど単価は下がり、長期契約やキャンペーンの適用時には月1,000円を切るサービスもあります。ドメイン代は年間1,000〜3,000円ほどが目安です。

保守や更新を制作会社に任せる場合は月5,000〜15,000円ほど、治療院向けの小規模なサイトなら集客の改善提案まで含めても月1〜3万円ほどです。サブスク型はこれらを月額に含む契約が多く、自院で契約手続きを進める手間も減ります。どちらを選ぶ場合も、公開後3年でいくら払うのかを試算してから決めましょう。

鍼灸院のホームページ制作の掲載必須項目

ホームページに何を載せるかは、集客の観点だけで決める話ではありません。あはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)に基づく広告ガイドラインが、施術所のウェブサイトに載せるべき事項を定めています。

令和7年2月18日に厚生労働省が出したガイドラインが求めているのは、次の3点です。

  • 自費施術の内容と費用
  • 施術の主なリスクと副作用
  • 情報の問合せ先

いずれも制作の要件として先に押さえておきたい項目のため、順に解説します。

自費施術の内容と費用

ガイドラインが求めているのは、自費の施術内容と通常必要とされる費用の情報提供です。保険を使わない施術は、何をする施術でいくらかかるのかをホームページに示す必要があります。

回数券やプリペイドカードを販売しているなら、説明はもう一段必要です。ガイドラインは、商品の内容や契約内容を利用者が正確に理解して購入できるよう表示するとしています。

鍼灸の回数券は、特定商取引法の特定継続的役務提供の対象に入っていません。そのため、クーリング・オフは適用されません。国民生活センターは、払い戻しは原則として約款等に従うとしたうえで「一切返金できない」のように消費者の利益を一方的に害する条項は無効となる可能性があると示しています。有効期限や中途解約の扱いは、院内の掲示と同じ内容にそろえます。

施術のリスクと副作用

2つ目は、自費の施術に伴う主なリスクや副作用です。集客を考えると触れにくい項目ですが、ガイドラインはウェブサイトに掲載すべき事項として明記しています。

鍼灸で起こりうるのは、施術後の一時的なだるさや眠気、内出血などです。こうした反応の可能性と、起きたときにどう対応するのかを先に書いておくと、初めて鍼を受ける人の不安を減らせます。

書き方で気をつけたいのは、リスクの説明を効果の裏返しにしない点です。「好転反応なので心配ありません」のように、医学的な裏づけを示せない説明で安心させる表現は避けましょう。起こりうる反応を事実として並べたうえで、気になる症状が続く場合の連絡先を添えます。

情報の問合せ先

3つ目は、掲載している情報についての問合せ先です。予約用の電話番号やフォームとは別に、記載内容を確認したい人が連絡できる窓口を示します。

多くの院では、予約導線と兼ねる作りで足ります。院名・所在地・電話番号・メールアドレスまたはフォームへのリンクを、全ページのフッターにまとめて置いておきましょう。

個人情報保護委員会のガイドラインは、公表に当たる掲載場所として「自社のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所」と示しています。問合せフォームで氏名や症状を受け取るなら、利用目的の記載も必要です。利用目的は「サービス向上のため」のような抽象的な書き方では足りず、本人が予測できる程度に特定して書きましょう。

鍼灸院のホームページ制作のNG表現

掲載すべき事項がある一方で、載せてはいけない表現も定められています。ここで押さえたいのは、ホームページと広告では規制の強さが異なる点です。

同じ内容でも、自院サイトに書けるものと、費用を払って出す広告には書けないものがあります。線引きと個別のNG表現を順に見ていきます。

ホームページと広告の線引き

あはき法は、広告できる事項を限定して列挙しています。施術者の氏名や住所、業務の種類、施術所の名称や所在地、施術日または施術時間などが対象です。この範囲を超える内容は広告に載せられません。

一方で、施術所のウェブサイトは、利用者が自ら検索して見に行くものであるため「認知性」を満たさず、原則として広告には当たらないと整理されています。症状別の説明や施術の流れは、広告では書けなくてもホームページには書けます。

ただし、規制の対象外だから何を書いてもよいわけではありません。ガイドラインは第Ⅵ項の適用範囲を「インターネット上の施術所等の情報全般を対象とするものであること」と定め、掲載すべき事項と掲載すべきでない事項をウェブサイトにも求めています。

規制対象になるリスティングとSNS

ホームページ本体は広告に当たりませんが、費用を払って露出させるものは広告として扱われます。リスティング広告は、検索結果の上部などに料金を払って出す枠です。

広告に当たる例は、次のとおりです。

  • 費用を払って上位表示される検索結果
  • スポンサーとして表示される情報
  • 施術所紹介サイト上の紹介ページ
  • 動画広告

SNSでの書き込みも、誘引性・特定性・認知性の3要件を満たせば広告です。注意したいのは、これらの広告からリンクでたどり着くホームページも、広告と一体のものとして規制の対象になる点です。

Googleビジネスプロフィールなど無料の掲載は、あはき法上の扱いを明示した公的な整理が見当たりませんでした。ただ、ガイドラインは地図サービスについて、謝礼を払って好意的なコメントを掲載させるべきではないと定めています。

効果を断定する表現と加工写真

掲載すべきでない事項として、ガイドラインは虚偽や客観的事実を証明できない内容を挙げています。「絶対安全な施術です」「絶対に治る施術」といった書き方が例示され、加工・修正した施術前後の写真の掲載も同じ扱いです。

他院と比べて自院が優れていると示す表現も認められません。「口コミサイトで1位を獲得」「◯◯にも掲載された」は、ガイドラインが名指しで挙げている例です。

あはき法第7条第2項は、施術者の技能・施術方法・経歴に関する広告を一切認めていません。「慢性病の根本治療」「痛くない鍼」「◯◯先生に師事」「有名人のトレーナー」といった表現が例として並んでいます。景品表示法でも、根拠を示せない優良誤認表示は問題になります。効果をうたいたくなったときは、施術内容そのものの説明に置き換えて書きましょう。

鍼灸院のホームページ制作の表記ルール

広告の中身だけでなく、院名や保険の案内といった表記そのものにもルールがあります。規制に触れる院名のまま開業してしまうと、あとからの変更は簡単ではありません。

ここでは、院名・医療と紛らわしい語・保険の案内の3つを順に確認していきます。

施術内容を含む院名の扱い

院名は、利用者が国家資格による業態だと認識できる名称にする必要があります。ガイドラインは、広告可能な名称として「◯◯鍼灸治療院」「◯◯鍼灸療院」「◯◯鍼灸治療所」や、業態を特定しない「◯◯施術所(院)」を例示しています。

施術内容や効能を含む名称は広告できません。不可の例として並んでいるのは「不妊鍼灸」「背骨専門」「無痛治療」「電気療法」「姿勢改善」「小顔矯正」といった名称です。

対象者を限定する名称も同じ扱いです。「女性専門療院」「交通事故専門」「アスリート」が例に入っています。「はり科」のような診療科目を連想させる名称、業務名がない「A療院」、医師と紛らわしい「鍼灸医」も不可の例です。院名を決める前に、開設届を出す保健所へ相談しておきましょう。

医療と紛らわしい語の禁止

施術日や施術時間を書くときに「診」の字を使う表記は、医療と紛らわしいため広告では認められていません。ホームページ本体は原則として広告に当たりませんが、リスティング広告を出せばリンク先も広告扱いになるため、表記はそろえるほうが安全です。診療日・診療時間・診療中、診察日・診察時間・診察中、休診日・初診・再診・往診が該当します。

代わりに使えるのは、受付時間・施術曜日・休日(休療日)といった書き方です。施術の内容を示す語としては、初検・再検・往療・施療が認められています。

出張施術も同じで「訪問診療」「往診」は使えません。「往療」または「訪問施術の実施」と書きます。ホームページのヘッダーやフッターは全ページに出るため、ここに「休診日」と入っていると全ページに同じ表記が出てしまいます。

保険を案内するときの条件

保険の案内には条件が付きます。「各種保険取扱い」「労災保険取扱い」「自賠責保険取扱い」「交通事故取扱い」は、いずれも広告できない事項です。

書けるのは「医療保険療養費支給申請ができる旨」で、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限られます。費用の一部負担になる旨を平易な言葉で説明するのは認められています。

はり・きゅうの療養費の対象は、神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症の6疾患が基本です。同じ範囲の疾病かどうかは保険者が個別に判断します。同意書に基づく支給期間は6か月で、続けるには再度の交付が必要です。令和8年7月1日以降の施術では療養費の料金が改定され、初検料は1術2,000円・2術2,320円になりました。古い金額を載せたままにしないよう、公開前に見直しましょう。

鍼灸院の自費単価を上げる7つの設計

自費中心の鍼灸院では、来院数を増やすより1人あたりの単価と再来を安定させるほうが、経営への効きが早い場面があります。ホームページは、そのための説明役です。

ここでは、保険と自費の整理から再来の発信まで、単価と継続に関わる7つの設計を紹介します。

保険と自費の違いを整理する

鍼灸は保険が使える場合と使えない場合があり、この違いが患者に伝わっていないと料金の説明が長引きます。保険が使えるのは神経痛や腰痛症など6疾患に限られ、いずれも医師の同意書が要ります。

美容目的や疲労回復のための施術は対象外で、全額が自費です。肩こりのように、医師が6疾患と同じ範囲の疾病と判断して同意書を出すかどうかで扱いが変わるものもあります。同意書がないまま来院した患者との行き違いは、初回の会計で表面化します。

ホームページでは、保険で受けられる条件と自費になる範囲を1ページにまとめておきましょう。同意書の取り方や有効期間も添えると、来院前に準備できます。

自費メニューの料金を明示する

自費のメニューと料金は、ガイドラインが掲載すべき事項に挙げている項目です。金額を伏せて問い合わせに誘導するより、施術時間と料金を並べて示すほうが、比較検討の段階で候補に残ります。

初回料金だけを大きく見せる書き方は避けましょう。初回2,980円と書いてあっても2回目以降が8,000円なら、通い続けたときの負担は初回の数字から想像できません。ガイドラインは費用の過度な強調を認めていません。景品表示法でも、基本価格を示さないまま「今なら半額」とうたい、実際にはその割引に当たらない料金だった例が有利誤認表示として挙げられています。

回数券を扱う院は、有効期限・返金の可否・中途解約も料金ページに載せましょう。1回ごとの料金と回数券の総額を並べて示すと、患者は負担を比べられます。

症状別の施術ページを用意する

患者は「鍼灸院」ではなく、症状の名前で検索します。腰痛・肩こり・頭痛・自律神経の不調など、扱う症状ごとにページを分けると、検索したときの受け皿になります。

ページに書く内容は、その症状に対してどんな施術をするのか、初回に何を確かめるのかです。効果を断定せず、施術の内容と進め方の説明にとどめれば、規制の範囲内で症状ページを作れます。

ページを増やすときに気をつけたいのが、院名の付け方です。ガイドラインは「不妊鍼灸」のような施術内容を含む名称を広告できない例に挙げています。ページのタイトルや本文で症状を扱うのは問題ありませんが、院名そのものに入れると別の規制がかかります。

施術の流れと所要時間を伝える

初めて鍼灸院に行く人は、当日何をされるのかが想像できません。受付から問診、着替え、施術後の説明までを順に書き、全体で何分かかるのかを示しましょう。

所要時間は予約の判断に直結します。仕事の昼休みに来られるのか、施術後すぐ運転できるのかは、時間がわからないと決められません。初回は問診に時間をかけるため90分、2回目以降は60分といった具合に、回ごとの目安を分けて書くと予定を立てられます。

服装や持ち物も同じページに載せておきたい情報です。着替えを用意しているのか、当日の食事や飲酒に制限があるのかを書いておくと、当日の問い合わせが減ります。電話に出られる時間が限られる院ほど、この先回りが効きます。

鍼の痛みや衛生面の不安に答える

鍼の経験がない人が最初に気にするのは、痛みと衛生面です。この2つに触れていないホームページは、検討の途中で候補から外れます。

痛みについては、断定を避けながら説明します。「痛くない鍼」はあはき法が技能や施術方法の広告として認めていない表現のため、使えません。鍼の太さや刺入の深さ、施術中に痛みを感じたときはすぐ伝えてほしい旨を書くほうが、規制にも触れず不安にも答えられます。

衛生面は、写真が言葉より早く伝わります。使い捨ての鍼を採用している院なら開封前のパッケージを、消毒や清掃の手順を決めている院ならその様子を撮って載せましょう。施術室やベッド周りの実際の写真は、清潔感を文章で説明するより伝わります。

通院回数の目安を示す

自費の施術で患者が最も不安に思うのは、あと何回通えばよいのかです。総額の見通しが立たないと、初回で終わってしまいます。

回数の書き方には注意が必要です。「3回で改善します」のように結果を約束すると、客観的事実を証明できない表現に当たります。「初回から3回程度は間隔を詰めて様子を見て、その後は状態に応じて広げる」のように、施術計画の考え方として示す書き方なら問題ありません。

症状や体質で回数が変わる点も同時に書きます。目安を示したうえで、初回の問診で個別に提案する流れを説明すると、押し売りの印象を与えずに継続の見通しを渡せます。

再来につながる情報を発信する

一度来た患者に思い出してもらう仕掛けも、ホームページの役割です。季節ごとの不調やセルフケアの記事を更新しておくと、次に不調が出たときの入口になります。

更新の負担を軽くするには、月1本と決めて300字程度の短い記事を積むほうが続きます。施術の合間に長文は書けないため、患者から実際に受けた質問への回答を1本ずつ記事にする方法が現実的です。

患者の声を載せる場合は、掲載前にご本人の了承を取ります。効果を約束する表現に読める内容は避け、施術を受けた感想の範囲にとどめましょう。広告と気づかれないまま好意的な投稿を依頼する行為は、令和5年10月からステルスマーケティングとして景品表示法違反になります。

鍼灸院がポータルに頼らず集患する手順

ポータルサイトからの予約が中心になっていると、掲載条件や競合の出稿量に来院数が左右されます。ポータルをやめる必要はありませんが、自院サイトでも予約を受けられる状態にしておくと、経路が1つに偏りません。

ここでは、役割分担から再来の受け皿づくりまでの手順を見ていきます。

ポータルと自院サイトの役割を分ける

ポータルサイトは、まだ院を知らない人に見つけてもらう入口として働きます。これに対して自院サイトは、院を知った人が詳しく確かめる場所です。両方を同じ役割で使おうとすると、料金や初回特典の見せ方が重なり、どちらを見ても同じ情報しか得られません。

分けるときの考え方はシンプルです。ポータルには基本情報と予約枠を置き、自院サイトには症状別の説明・施術の流れ・料金の全体像・院長の考えを置きます。

ポータル経由で来た患者にも、自院サイトを見てもらう導線を作りましょう。会計時に渡すカードや院内の掲示にサイトのURLを載せておくと、2回目以降の予約が自院サイトへ移る流れを作れます。

関連記事:Web誘導の方法7選|SEO・SNS・広告の使い分けを解説

指名検索で見つかる状態を作る

指名検索とは、院名や院長名で直接検索する行動です。チラシや口コミで院を知った人が最後に取る行動で、ここで自院サイトが出てこないと、比較サイトや他院の広告に流れます。

まず確かめたいのは、自院の名前で検索したときに何が表示されるかです。1番目に自院サイトが出てこない場合は、トップページのタイトルに院名と地域名が入っているかを見ておきましょう。

指名検索を増やす方法は、ホームページの外にもあります。院内の掲示、名刺、施術後に渡す資料に院名を正確に書き、患者が検索するときの表記にそろえます。屋号を略して呼ばれている場合は、その呼び名でも見つかるようページ内に書いておきましょう。

再来の予約を自院サイトで受ける

予約ごとに手数料がかかるポータルでは、2回目以降を自院サイトで受けられると負担が変わります。予約フォームやオンライン予約システムを自院サイトに置き、施術後に案内しましょう。

予約導線は、スマートフォンで見たときに画面の下へ固定して常に表示させると、どのページからでも予約に進めます。電話しか窓口がない院では、施術中の着信を取り逃した時点で予約が消えます。

LINEの公式アカウントの併用も選択肢です。予約の変更や次回の案内を送れるため、電話のやり取りを減らせます。ただし、配信頻度が高いとブロックされるため、月1〜2回にとどめ、内容もセルフケアの情報など読む理由があるものに絞りましょう。

鍼灸院のホームページ制作会社の選び方

制作会社をデザインの好みだけで決めるのは、危うい選択です。あはき法の規制を知らない会社に任せると、修正のたびに院長が指摘する側に回ります。

ここでは、発注前に確かめたい3つの観点を紹介します。

あはき法への対応実績を確かめる

制作会社に最初に聞くのは、あはき法と広告ガイドラインを踏まえた制作の経験があるかどうかです。医療広告ガイドラインと混同している会社もあるため、施術所のウェブサイトの扱いを説明できるかで見分けられます。

質問は「治療院の実績はありますか」ではなく「ホームページと広告で書ける範囲が違う点をどう説明しますか」に変えると、理解度が測れます。院名の表記や保険の案内について指摘が返ってくれば、規制を把握している会社です。

制作実績の数字は、そのまま鵜呑みにしないほうが安全です。治療院の実績が整骨院ばかりで、鍼灸院特有の自費メニューや同意書の扱いを知らない場合もあります。過去に作ったサイトを見せてもらい、料金や症状の書き方を確認しましょう。

公開後の更新体制を比較する

ホームページは公開してからが本番です。料金改定や休業日の変更を反映できないまま古い情報が残ると、来院した患者との行き違いにつながります。

更新をどちらがどこまで担うのかは、契約前に取り決めます。院長が直せる範囲、依頼した場合の料金と納期、月額に含まれる更新回数を見積書の段階で聞いておきましょう。

施術中で手が空かない一人院ほど、更新を任せられる契約かどうかが後々の差になります。中小企業基盤整備機構が示す外注先の選定基準も、規模の大小ではなく、親身にニーズに応えてくれるサービスと知識があるかどうかです。公開後に相談できる相手かどうかは、初回の打ち合わせの受け答えである程度わかります。

見積書の内訳を確認する

見積書は総額だけでなく、内訳を項目ごとに見ます。原稿作成・写真撮影・スマートフォン対応が別料金になっていると、契約後に追加費用が発生します。

確認したい項目は、次のとおりです。

  • 原稿作成の担当と本数
  • 写真撮影の有無と枚数
  • ページ数と追加時の単価
  • 公開後の更新料と対応範囲
  • 契約期間と解約時の扱い

同じ100万円でも、原稿と写真を制作会社が用意する見積もりと、院長がすべてそろえる前提の見積もりでは、実際の負担がまったく異なります。制作会社ごとに項目の切り方が違うため、そのままでは横並びに比較できません。3社ほどから見積もりを取るときは、同じ条件で比べられるよう依頼内容をそろえて渡しましょう。

関連記事:格安ホームページ制作はなぜ安い?相場から失敗しない選び方まで解説

鍼灸院のホームページ制作でよくある質問

ここまで費用・規制・設計を見てきましたが、実際に動き出すと発注の時期や自作との比較で迷う場面が出ます。

最後に、開業前後の院長からよく出る3つの質問にお答えします。

開業前の場合、いつ頼めばいい?

開業の3か月前には制作会社へ相談を始めると、開院日にホームページを公開できます。テンプレートを使うサービスなら最短10日で納品する例もありますが、原稿と写真の準備には時間がかかります。

先に決めておきたいのは、院名・料金・施術メニュー・営業時間です。これらが固まらないと制作は進みません。院名は広告できる名称の条件があるため、保健所の窓口へ事前に相談しておきましょう(開設届の提出自体は開設後10日以内です)。

内装工事が終わってからでないと院内写真は撮れないため、撮影は開院直前になります。写真待ちで公開が遅れないよう、テキストだけ先に作り込む段取りを組んでおきましょう。

自分で作るのと依頼はどちらがいい?

作成ツールを使えば、月額数千円でご自身でも作れます。費用だけを見れば自作が有利ですが、判断は使える時間と規制への対応力で分かれます。

自作で難しいのは、あはき法の広告規制に沿った表現の判断です。書けない表現を知らないまま効果を断定してしまうと、指導の対象になる可能性があります。

日々の施術をこなしながら、原稿を書き、写真を撮り、規制を確認する時間が取れるかを考えましょう。作成ツールで作ったサイトを、あとから制作会社へ引き継げるかどうかも先に確かめておきましょう。開業直後で予算が限られるなら自作から始め、患者が増えた段階で制作会社へ移す進め方もあります。

ホームページだけで集患できる?

ホームページを作っただけで予約が入る状態にはなりません。検索で見つけてもらうには、症状別のページを増やし、地域名を含めた情報を整える作業が要ります。

現実的なのは、Googleビジネスプロフィールの整備と口コミ、紹介、ポータルの併用でホームページへの入口を複数つくる進め方です。集客への投資額は、毎月続けられる範囲から逆算して決めましょう。

入口を増やしたあとは、どこから来た人が予約に進んだのかを見ておくと、次に手を入れる場所が絞れます。公開して終わりにせず、予約数の変化を見ながら、症状ページの追加や料金の見せ方を直していきましょう。

鍼灸院のホームページ制作について解説しました

鍼灸院のホームページ制作では、費用相場の把握と同じくらい、あはき法の広告ガイドラインへの対応が結果を左右します。ホームページは原則として広告規制の対象外ですが、掲載すべき3項目と掲載すべきでない表現はウェブサイトにも適用されます。

まずは自院サイトを開き、自費メニューの料金・施術のリスク・問合せ先が載っているかを確認しましょう。院名や施術時間の表記に「診」の字が混ざっていないかも、同じタイミングで見直せます。

そのうえで、症状別ページや通院回数の目安を足していくと、自費と再来の説明がホームページ側で完結します。規制の判断や制作会社の比較で迷う場合は『レノワード企画』へご相談ください。

参考サイト