行政書士として開業したものの、ホームページに何から手をつければよいか決めきれない方は多いのではないでしょうか。費用の相場も、自作と外注のどちらが合うのかも、調べるほど情報が割れて判断が難しくなります。
この記事では、行政書士のホームページ制作にかかる費用相場と3つの作り方を整理したうえで、扱う業務の決め方や開業直後に載せる項目まで解説します。弁護士法や行政書士職務基本規則で縛られる文言のルール、実績ゼロの時期に信頼を得る方法、制作会社の選び方や使える補助金も取り上げる内容です。
予算に合う作り方と、公開初日に載せておく中身の両方を、迷わず決められる状態になります。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。
行政書士にホームページ制作が必要な理由
開業直後は名刺やゴム印の手配に追われ、ホームページは後回しになりがちです。ただ、依頼者が事務所にたどり着くまでの経路を考えると、公開が早いほど声をかけてもらえる場面は増えます。紹介を受けた人が名前を検索して確かめる流れも一般的になりました。
まずは、開業したばかりの行政書士にホームページが要る理由を2つの角度から見ていきます。
同業5万人のなかで選ばれる必要があるから
行政書士は全国に5万人以上が登録しており、依頼者はそのなかから連絡先を1つ選びます。日本行政書士会連合会の公表では、令和8年4月1日現在の個人会員は54,186名、法人会員は1,719です。
同じ資格でも事務所ごとに扱う分野と対応の深さが異なるため、依頼者は「この人に頼んでよいのか」を判断する材料を探しています。官公署へ提出する許認可の書類は分野ごとに細かく分かれており、相続一つとっても対応範囲には差が出ます。
名前と電話番号しか公開されていない状態では、依頼者は比べようがありません。取扱業務と料金、対応の流れが読み取れる場所を用意すると、選ぶ側の迷いが減ります。
地域名と業務名で探す依頼者の受け皿になるから
依頼者が事務所を探すときは「地域名と業務名」を組み合わせて検索する場面が多くあります。Googleビジネスプロフィールのヘルプでも、ローカル検索の順位は関連性・距離・知名度の3要素で決まると説明されています。
「◯◯市 建設業許可」のように調べられたとき、その業務を扱うと読み取れるページがなければ候補にすら入りません。関連性は掲載内容と検索語がどれだけ合っているかで判断されるため、扱う業務を書き出す意味は大きくなります。
紹介で名前を聞いた人が、あとから事務所名で検索して確かめる場面もあります。検索から来た人にも紹介から来た人にも、同じ場所で情報を確認してもらえる状態が理想です。
行政書士のホームページ制作の費用相場
費用は「どんな作り方を選ぶか」で大きく変わります。同じ10ページのサイトでも、テンプレートを使う場合と一から設計する場合とでは金額の桁が違ってきます。開業直後に用意できる予算から逆算すれば、選べる型はおのずと絞られるはずです。
ここでは制作方法の3つの型と、公開後に毎年かかる維持費に分けて金額を整理します。
テンプレート型でかかる金額
テンプレート型は、あらかじめ用意された枠に文章と写真を流し込む作り方です。士業向けに公開されている料金を2026年7月20日時点で見ると、初期費用は2〜10万円台、月額は4,000円〜1万円程度に収まる例が目立ちます。
たとえば、士業専門プランでは初期費用65,780円・月額6,490円、別の士業向けサービスでは初期費用54,780円・月額4,928円が公表されています。月額に含まれる範囲はサービスごとに異なり、サーバーやドメインの実費が別途になる契約もある点には注意が必要です。
デザインの自由度が限られ、ほかの事務所と似た印象になる点も織り込んでおく必要があります。それでも、開業直後で予算を抑えたい時期には最も現実的な選択肢になります。
関連記事:格安ホームページ制作はなぜ安い?相場から失敗しない選び方まで解説
オリジナル型でかかる金額
オリジナル型は、事務所の強みにあわせて構成とデザインを設計する作り方です。行政書士に特化したサービスでは、制作費240,000円の買い切り型や、プラン別に165,000円から、上位プランは550,000円〜の価格が公表されています。
士業向け制作会社のランク別料金では、無料の作成ツールやテンプレートを使う場合で10〜30万円、WordPressのテンプレート活用で30〜80万円、カスタマイズを伴うと80〜180万円に分かれます。ページ数と設計の深さで金額が動く構造です。
開業直後の個人事務所であれば、10〜80万円台が検討の中心になります。取扱業務ごとの専用ページを増やすほど費用は上がるため、最初は絞って作り、受任が増えてから追加する進め方も選べます。
月額サブスク型でかかる金額
月額サブスク型は、初期費用を0円にして毎月の定額で使う契約です。公表されている料金では月額7,800〜17,800円が中心で、最低契約期間を6か月に設定する例が見られます。
初期費用がかからないぶん、開業時のまとまった出費を避けられます。ただし、月額1万円のサブスク型と初期費用30万円の買い切り型は、30か月ほどで総額がほぼ並ぶ点には注意が必要です。
もう一つ確認したいのが、解約したあとの扱いです。サービスによっては解約と同時にサイトが公開停止になり、データの引き渡しが有償だったり、そもそも引き継げなかったりします。契約前に、解約時の条件を書面で取り交わしておきましょう。
関連記事:ホームページサブスクと買い切り型の違いとは?費用や選び方を解説
公開後に毎年かかる維持費
維持費は「ご自身で管理する費用」と「保守を外注する費用」に分けて考えると見通しが立ちます。ご自身で管理する場合はドメインとサーバーの費用だけで、年5,000円〜2万円程度が目安です。事業用に一般的なサーバープランなら、1万〜2万円に収まります。
内訳は次のとおりです。
- ドメイン更新料:年1,700〜3,400円
- レンタルサーバー:月231〜1,100円
- 独自SSL:無料のプランが多い
上記のサーバー費は12か月契約時の目安で、36か月契約ならさらに下がります。ドメインは2年目以降の更新料が高くなるため、更新料を基準に見積もりましょう。
更新や不具合対応を制作会社に任せる場合は、これに月5,000円〜2万円程度の保守費が加わります。本業に時間を割きたい時期は、外注も選択肢に入ります。
行政書士のホームページ制作は自作か外注か
開業資金が限られていると、自作か外注かで手が止まります。判断の軸になるのは、費用だけでなく確保できる時間と、公開後に更新を続けられるかどうかの3点です。なお、外注を選んだ場合の依頼先の見極め方は記事の後半で扱います。
ここでは、どちらが向いているかを3つのタイプに分けて整理します。
自作に向いている人
自作が向いているのは、開業までに時間の余裕があり、文章をご自身で書ける人です。ペライチのようなノーコードのサービスなら月額1,480〜6,980円(税込1,628〜7,678円)程度で独自ドメインも使えるため、初期費用はほぼかかりません。
自作の利点は費用よりも、サイトの仕組みを理解したうえで運用に入れる点にあります。どのページが読まれているかを見て文章を直す作業をご自身でできると、公開後の改善が早くなります。
一方で、写真の用意や取扱業務の説明文まで含めると、完成までに数十時間は必要です。開業直後の実務と並行できるかを見積もってから決めましょう。
外注に向いている人
外注が向いているのは、開業直後から受任を取りにいきたい人と、パソコン作業に時間を割きたくない人です。制作会社に頼むと、構成の設計から文章の整理、スマートフォン表示への対応までまとめて任せられます。
特に建設業許可や入管業務のように単価が高い分野を狙う場合は、1件受任できれば制作費を回収できる計算になります。テンプレート型なら初期2〜10万円台(税込)から始められるため、回収までの見通しも立てられるでしょう。
依頼先によっては原稿の作成が含まれない場合があります。写真の撮影や取扱業務の文章づくりが別料金になる例もあるため、提示された金額だけで比較するのは避けたいところです。
関連記事:ホームページ制作をフリーランスに依頼するメリットは?費用や流れも解説
自作から外注に切り替える人
自作で始めたあと、途中から外注へ切り替える事務所は多くあります。切り替えの目安になるのは、問い合わせが月に数件を超えて更新の手が回らなくなったときと、取扱業務を絞って専用ページを増やしたくなったときです。
自作したページの文章と写真は、そのまま制作会社へ渡す材料になります。一度ご自身で作った経験があれば「どのページに何を書きたいか」を細かく伝えられるでしょう。
ドメインをご自身の名義で取得しておけば、乗り換えのときも同じURLを使い続けられます。切り替えを決めたら、作り直したいページと残したいページを先に仕分けておきましょう。
行政書士のホームページ制作で扱う業務の決め方
行政書士が扱える書類は1万種類を超えるといわれ、すべてをホームページに並べると読み手はどこに頼めばよいか判断できなくなります。載せる業務を決める作業は、デザインを考える前に済ませておきたい工程です。
ここでは、単価と依頼件数の2つの軸から絞り込む方法を解説します。
単価の高い業務から優先して選ぶ
最初に見る軸は、1件あたりの報酬額です。日本行政書士会連合会が5年に1度実施する報酬額統計調査(令和7年度・令和8年1月実施)を見ると、業務ごとの単価差がはっきり出ています。
建設業許可申請(法人・新規/知事許可)の平均は151,341円、大臣許可では199,972円で、遺産分割協議書の作成の平均69,752円と比べて2倍以上の開きがあります。在留資格変更許可申請(就労資格)は平均103,167円です。
単価の高い分野を看板に据えると、受任1件あたりの利益が大きくなります。ただし、報酬額は取り扱う内容で大きく変わるため、統計の平均をそのまま料金表に転記せず、ご自身の対応範囲にあわせて設定しましょう。
依頼件数の多い業務を入口にする
単価が高くても依頼が発生しない分野では、受任にはつながりません。国土交通省の建設業許可業者数調査では、令和8年3月末時点の建設業許可業者数は483,823業者で、令和7年度中に新規で許可を取得した業者は18,121業者にのぼります。
許可には有効期間があるため、更新の需要も毎年生まれます。同じ年度に許可が失効した業者は17,998業者で、うち9,725業者は更新手続きを取らずに期限を迎えました。更新申請は新規より単価が下がるものの、報酬額統計でも回答者の多い業務です。
在留資格の分野も同様に、令和7年末の在留外国人数は412万5,395人と過去最高を更新しました。件数の多い分野を入口にすると、問い合わせの絶対数を確保しやすくなります。
総合型で全業務を並べるのは避ける
取扱業務をすべて並べた総合型のサイトは、どの依頼者にも刺さりにくくなります。建設業許可を探している会社が「相続・離婚・車庫証明・許認可」と横並びに書かれたページを見ても、任せられる相手かどうかを読み取れないためです。
絞るといっても、ほかの業務を受けないと決める必要はありません。トップページと専用ページで前面に出す分野を1〜2つに決め、それ以外は取扱業務の一覧に載せる構成にすれば、受任の間口は保てます。
開業後に得意分野が変わる場面もあります。あとから専用ページを差し替えられる作りにしておけば、方針の変更にも慌てずに済むでしょう。
行政書士のホームページ制作で必要な項目
ホームページに載せられる要素は多くありますが、開業直後から全部をそろえる必要はありません。実績やお客様の声は受任が積み上がってから追加できるため、先に用意したいのは依頼者が連絡する前に確かめたい情報です。
ここでは、開業直後に優先度が高い3つの項目を紹介します。
取扱業務ごとの料金表
料金表は、開業直後でも最優先で用意したい項目です。行政書士法10条の2第1項は、事務所の見やすい場所に業務の報酬額を掲示する義務を定めています。あわせて行政書士職務基本規則(以下、職務基本規則)24条2項が求めるのは、インターネットを利用した方法などでの公表の努力義務です。
報酬額は事務所ごとの差が大きく、日本行政書士会連合会の統計でも遺産分割協議書の作成は最小1,000円から最大1,000,000円まで開いています。依頼者からすれば、金額の見当がつかない状態で連絡するのは心理的な負担でしょう。
料金表に載せる項目は、次のとおりです。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 報酬額 | 業務ごとに「◯◯円〜」 |
| 実費 | 登録免許税や証紙代 |
| 相談料 | 初回無料などの条件 |
すべての金額を出せない時期でも、幅で示せば問い合わせの敷居は下がります。
経歴と資格を示すプロフィール
プロフィールは、実績が積み上がる前の時期に信頼を支える項目です。氏名・登録番号・所属する行政書士会・事務所所在地に加えて、これまでの職歴や取り扱ってきた分野を書き添えます。
登録番号と所属会を明記すると、依頼者は日本行政書士会連合会の名簿で在籍を確認できます。資格の裏づけを示せる情報は、開業年数の短さを補う材料です。開業の動機や力を入れたい分野を数行添えると、人柄まで伝わります。
顔写真は載せるほうが安心感につながります。証明写真のような1枚より、事務所や執務中の様子がわかる写真のほうが、相談する場面を想像しやすくなるでしょう。
スマートフォンで読みやすいデザイン
デザインで最初に確認したいのは、スマートフォンで読みやすいかどうかです。総務省の令和7年版情報通信白書によると、インターネット接続端末としてのスマートフォンの利用率は2017年にパソコンを上回り、2024年時点では74.4%に達しています。
60代でも78.8%、70代でも53.0%が使っているため、相続の相談者もスマートフォンで開く前提で考える必要があります。文字の大きさ、行間の余白、電話番号を押せば発信できるかの3点は、公開前に実機で確かめましょう。
士業らしい信頼感は、装飾の多さではなく余白と配色の落ち着きから生まれます。色数を3色程度に抑え、顔写真と料金表が迷わず見つかる配置になっていれば十分です。
行政書士のホームページ制作で実績ゼロを補う
開業直後に最も困るのが、実績とお客様の声を載せられない点です。士業のホームページでは、この2つが信頼を支える中心になるため、空欄のまま公開すると頼りない印象になります。
ただし、実績以外にも依頼者の不安を減らす材料はあります。ここでは、開業直後から用意できる4つの手を見ていきましょう。
前職の経験を取扱業務に結びつける
実績欄が空でも、前職で積んだ経験は依頼者にとっての判断材料になります。建設会社の総務にいたなら建設業許可、人材会社にいたなら在留資格と、業界の内側を知っている点は取扱業務と結びつけて書けます。
書き方で気をつけたいのは、経験を資格や実績と混同させない点です。職務基本規則17条3項は、誤認または誤導のおそれのある内容の広告宣伝を禁じています。「大手企業出身」とだけ強調して行政書士としての実績があるかのように読ませる書き方は避けましょう。
「◯◯業界で△年間、許認可の申請書類を扱ってきました」のように、事実をそのまま書けば十分です。
料金表を先に公開して不安を減らす
料金がわからない状態は、依頼者が連絡をためらう大きな理由です。職務基本規則34条1項は、受任に際して適正な報酬を明示し、十分に説明するよう定めています。判断の基準になるのは、事件の難易・時間・労力などの事情です。
受任時に説明する内容をあらかじめホームページに書いておけば、依頼者は問い合わせる前に予算の見当をつけられます。実績がない時期こそ、金額を先に開示する姿勢そのものが信頼を生みます。
見積もりでしか答えられない業務は、無理に数字を出さず「面談後にお見積もり」と明記しましょう。
初回相談の進め方を明示する
はじめて行政書士に依頼する人は、連絡したあと何が起きるかを想像できません。初回相談から受任、書類提出までの流れを段階で示すと、その不安は小さくなります。
職務基本規則は、内容と範囲を明確にして受任するよう定め(33条)、報酬などを定めた契約書を取り交わすなど紛議を防ぐ配慮も求めています(35条)。あわせて、事件の経過と結果の報告義務も置いています(36条2項)。
これらは受任後の実務ルールですが、そのまま「相談の流れ」としてホームページに転用できます。たとえば次のような並べ方です。
- メールまたは電話で相談を受付
- 面談で必要書類と期間を確認
- 見積もりの提示
- 契約書の取り交わし
- 申請と進捗のご報告
各段階に所要日数の目安を添えると、依頼者は準備の段取りまで立てられます。
顔写真と事務所の様子を掲載する
顔が見えない相手に、権利義務に関わる書類を任せるのは勇気が要ります。職務基本規則29条2項は、受託にあたって依頼者が本人かどうかを面談などの適切な方法で確認するよう定めており、実務でも顔を合わせる場面は残ります。
先に相手の顔と場所がわかっていれば、依頼者は面談当日までの心理的な準備を進められるでしょう。事務所の外観、応接スペース、最寄り駅からの道順まで載せると、はじめて訪れる人の負担が減ります。
写真は数枚で十分です。無理に凝った撮影をせず、明るい時間帯にスマートフォンで撮った1枚でも、何もないページよりはるかに伝わります。
行政書士のホームページ制作で示す業務範囲
ホームページに「なんでもご相談ください」と書くと、ほかの士業の独占業務まで引き受けるように読めてしまう場合があります。行政書士法1条の3が定める業務は書類の作成が中心で、相談に応じられる範囲もそこに紐づきます。
ここでは、サイトに書いてよい業務の輪郭を3つの視点で整理しましょう。
書類作成に紐づく相談
行政書士の業務は、官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成を中心に組み立てられています(行政書士法1条の3)。相談に応じる業務も、1条の4第1項4号で「作成できる書類の作成に関する相談」と範囲が示されています。
つまりサイトに書けるのは、作成できる書類に紐づいた相談であり、書類作成から切り離した法律相談ではありません。「相続手続きのご相談」であれば遺産分割協議書の作成に紐づく一方で「相続トラブルのご相談」まで広げると、紛争の解決へと領域が変わります。
表現を書類名まで落として、どの書類に関する相談かがわかるように書きましょう。取扱業務のページを書類単位で用意すると、範囲のずれも起きにくくなります。
弁護士法72条で除かれる法律事務
行政書士法1条の4第1項1号は、代理業務から「弁護士法第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するもの」を明文で除いています。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件の鑑定・代理・仲裁・和解などを扱うのを禁じる規定です。
境目は「紛争になっているかどうか」だと考えるとつかみやすくなります。当事者間で合意ができている協議書の作成は書類作成の範囲ですが、相手方との交渉を代わりに引き受ける段階に入ると弁護士の領域です。
サイトの文言では「交渉」「代理交渉」「示談」といった語を使わないほうが安全です。紛争性のある案件は弁護士へ引き継ぐ旨を書き添えておくと、依頼者の期待とのずれも防げます。
ほかの士業の独占業務との線引き
登記・税務・労務の3分野は、それぞれ別の資格者の独占業務です。司法書士法73条1項は登記や供託の手続代理・書類作成・その相談を司法書士以外に禁じ、違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています(同78条1項)。
税理士法52条は税理士以外が税理士業務を扱うのを禁じており、同2条1項3号では税務相談も業務に含まれます。社会保険労務士法27条も、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成や提出代行を無資格者に認めていません。
「会社設立まるごとサポート」のような書き方は、登記申請まで引き受けると読まれる可能性があります。定款の作成までを担当し、登記は提携する司法書士へつなぐ流れであれば、その旨をページに書き分けましょう。
行政書士のホームページ制作で守る記載ルール
業務範囲を守っていても、書き方次第で規制に触れる場合があります。行政書士には弁護士のような広告専用の規程こそないものの、ホームページの文言を縛る層は弁護士法・職務基本規則・景品表示法の3つです。
ここでは、実際に手が止まる3つの論点を解説します。
弁護士法74条が禁じる標示
弁護士法74条2項は「弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない」と定めています。ここで禁じられているのは業として扱う行為ではなく、標示や記載そのものです。
つまりサイトに「法律相談承ります」と書いた時点で、実際に受任していなくても規制の対象になります。同条1項は弁護士や法律事務所の標示・記載も禁じており、違反した場合の罰則は同法77条の2で100万円以下の罰金です。
「法律相談」「法務相談」といった語は使わずに「建設業許可申請のご相談」「遺産分割協議書作成のご相談」のように、書類名や手続名で書き換えましょう。
職務基本規則17条の広告宣伝の制限
職務基本規則17条は、広告宣伝の対象にホームページとSNSを明記したうえで4つの禁止を定めています。不当な目的を意図した宣伝や品位を損なうおそれのある宣伝、事実に合致しない内容、誤認や誤導のおそれのある内容、誇大な宣伝が該当します。
「必ず許可が取れます」「最短即日で完了」のように結果を保証する書き方は、この4つに触れる可能性が高い表現です。景品表示法5条も、役務の内容や取引条件について実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じています。
「顧客満足度No.1」のような表示は、消費者庁の実態調査で根拠のない例が問題視されました。合理的な根拠として主要な競合との比較や調査対象者の適切な選定などが求められるため、安易に使わないほうが無難でしょう。
事例掲載で必要な守秘義務への配慮
解決事例は説得力のある材料ですが、掲載には守秘義務の壁があります。行政書士法12条は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすのを禁じ、廃業後も同じ義務が続くと定めています。職務基本規則11条も、これと同趣旨の規定です。
依頼者名や地名、時期、業種を組み合わせると、本人が特定される場合があります。「令和8年3月、◯◯市の建設会社A社」と書けば、地域の同業者には誰の案件かわかってしまう可能性があります。
事例を載せるなら、本人の許諾を得たうえで業種と手続の種類だけに絞りましょう。許諾が取れない時期は、事例ではなく「よくある相談内容」として一般化した書き方に置き換える手もあります。
行政書士のホームページ制作会社の選び方
外注すると決めたあとに迷うのが、どの会社に頼むかです。士業のサイトは規制と業務範囲の理解が前提になるため、デザインの見栄えだけで選ぶと公開後に書き直しが発生します。
ここでは、見積もりを取る前に確かめたい3つの観点を紹介します。
士業の業務範囲を理解しているか確かめる
最初に確かめたいのは、行政書士の業務範囲と広告規制を把握している会社かどうかです。集客を優先するあまり「なんでも解決します」「法律相談無料」といった文言を提案してくる会社では、公開後に修正が必要になります。
打ち合わせの場で「弁護士法74条や職務基本規則17条を踏まえた文言にできますか」と聞くと、理解度が測れます。即答できなくても、確認して回答する姿勢があれば任せて問題ないでしょう。
士業サイトの制作実績を見せてもらう方法も有効です。実際のページで「相談」の書き方や取扱業務の並べ方を確認すると、規制への理解が文章に表れているかを読み取れます。
依頼から公開までの流れをつかむ
見積もりを比較する前に、公開までの工程と担当範囲をつかんでおきましょう。同じ金額でも、原稿と写真を用意する側が事務所か制作会社かで、実際にかかる手間はまったく変わります。
特に確認したいのは、取扱業務ページの原稿を誰が書くかです。行政書士の業務は制度の細部で表現が変わるため、事務所側が要点をメモで渡し、制作会社が読みやすい文章に整える分担が現実的です。
制作期間も先に聞いておきましょう。開業日にあわせて公開したいなら、原稿の締切から逆算した日程を提示してもらうと、準備の遅れを防げます。撮影や取材が工程に含まれるかどうかも、この段階で確かめておくと安心です。
公開後の更新体制を契約前に確認する
ホームページは公開してからが本番のため、更新の体制を契約前に決めておきます。取扱業務の追加や料金改定のたびに費用が発生する契約か、事務所側で更新できるかで、運用コストの差は小さくありません。
確認しておきたい点は次のとおりです。
- 月額保守の対象範囲
- 更新依頼の回数制限
- 事務所側で編集できる範囲
- ドメインとサーバーの名義
- 解約時のデータの扱い
ドメインとサーバーが制作会社の名義になっていると、乗り換えのときに名義変更や移管の手続きが必要になり、協力が得られないとURLを引き継げなくなります。契約書に名義の記載がなければ、着手前に文面で押さえておきましょう。
行政書士のホームページ制作に使える補助金
制作費の負担を軽くする方法として、補助金の活用があります。個人事務所の行政書士も小規模事業者に該当するため、要件を満たせば申請の対象です。
ただし、ホームページの費用は補助金ごとに扱いが分かれます。ここでは2026年7月20日時点で確認できる内容を整理します。
小規模事業者持続化補助金の対象範囲
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取り組みを支える制度です。第20回公募の通常枠は補助上限50万円、補助率2/3です。インボイス特例の対象なら50万円、賃金引上げ特例なら150万円が上乗せされます。
小規模事業者かどうかの判定基準は、業種ごとの従業員数です。行政書士事務所が入る商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)では、常時使用する従業員が5人以下であれば要件を満たします。公募要領の対象外事業の例示にも、士業の記載はありません。
申請には商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書が必要です。第20回公募では申請受付が2026年11月5日から12月15日17時まで、事業支援計画書の発行受付は12月4日までとなっており、締切後の依頼は受け付けられません。
ウェブサイト関連費の上限額
注意したいのが、ホームページの費用だけでは申請できない点です。第20回公募の公募要領は「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません」と明記し、ほかの経費と組み合わせるよう求めています。
さらにウェブサイト関連費については、補助金交付申請額の上限が30万円(税込)と定められています。制作会社への外注費もこの枠で計上するため、100万円のサイトを作っても補助されるのは30万円までです。
解説記事には「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)まで」とする旧公募回の記述も残っているため、必ず最新の公募要領で確認しましょう。なお、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)は対象経費がソフトウェア購入費やクラウド利用料で構成されており、ホームページ制作費は仕組み上そこに含まれません。
行政書士のホームページ制作で問い合わせを増やす
公開しただけでは、問い合わせは増えません。依頼者が検索する言葉と、サイトに書かれている言葉が重なってはじめて、候補として表示されます。
ここでは、公開後に取り組みたい2つの施策を解説します。
地域名と業務名を組み合わせて対策する
依頼者は「◯◯市 建設業許可」のように、地域名と業務名を組み合わせて検索します。ページのタイトルと本文にこの組み合わせを入れておけば、検索結果に表示される可能性は高まります。
広い商圏を狙うほど競合が増えるため、まずは事務所の所在地と隣接する自治体に絞るのが現実的です。Googleビジネスプロフィールの登録も、地図から探す依頼者を受け止める入口です。
Google公式のSEOスターターガイドでは、サイトマップの送信やわかりやすいURL構成が基本の施策として挙げられています。文字数については「魔法の文字数も、最小や最大の文字数も存在しません」と明記されているため、量より内容の正確さを優先しましょう。
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業務ごとの専用ページを作り込む
トップページに業務を並べるだけでは、それぞれの検索語には届きません。建設業許可なら建設業許可の専用ページを1つ用意し、要件・必要書類・費用・期間まで書き切ると、検索した人の疑問がその場で解けます。
専用ページは、依頼者にとっての説明資料としても働きます。面談前に読んでもらえば当日の確認事項が減り、打ち合わせの時間も短くて済むでしょう。相談前に判断材料をそろえたい依頼者ほど、詳しいページを読み込む傾向にあります。
作るときは、取扱業務を絞る話とセットで考えましょう。1〜2分野に集中して深く書いたページのほうが、10分野を浅く並べたページより問い合わせにつながります。
行政書士のホームページ制作でよくある質問
ここまで費用・業務範囲・記載ルールを見てきましたが、実際に動き出す段階では細かな疑問が残ります。開業準備の時期は判断材料が少なく、迷う場面も出てくるはずです。
最後に、開業直後の行政書士から届く質問にお答えします。
開業前の場合、いつ頼めばいい?
登録申請を出した段階で動き出すと、開業日にあわせて公開できます。行政書士の登録にかかる期間は、申請から完了まで1か月半〜3か月程度と所属する行政書士会によって幅があるのが実情です。その間に原稿と写真を準備しておくと、制作の期間を重ねられます。
ただし、登録が完了するまでは「行政書士」を名乗る表示を出せません。行政書士法19条の2第1項が、行政書士でない者による当該名称や紛らわしい名称の使用を禁じているためです。登録完了の見込み時期を制作会社に伝えて、公開日から逆算した日程を組みましょう。
ドメインの取得だけは早めに済ませておく方法もあります。事務所名が決まった時点で押さえておけば、希望の文字列を確保できます。
事務所名だけのサイトでも効果はある?
名刺代わりに1ページだけ置くやり方でも、何もない状態よりは効果があります。紹介された人が名前を検索したときに、実在と連絡先を確かめられる場所になるためです。
ただし、検索から新規の依頼者を集めたい場合は不足します。「◯◯市 相続手続き」のように調べている人に届くには、その業務の内容を書いたページが要ります。とはいえ、連絡先・取扱業務・料金の目安の3点がそろっていれば、紹介経由の依頼者に応える内容としては十分です。
開業直後は1ページから始め、受任が増えるにつれて取扱業務のページを足していく進め方でも問題ありません。最初から完成形を目指さず、あとから手を入れられる作りを選ぶほうが続きます。
ご自身で更新できないときはどうする?
更新の手が回らない時期は、保守を外注する選択が現実的です。月5,000円〜2万円程度で、文章の差し替えや料金改定の反映を任せられるサービスがあります。
更新が止まった状態が続くと、料金や取扱業務が実態と合わなくなり、問い合わせの質も落ちます。情報が古いままのページは、依頼者に現在の状況が伝わらないもったいない状態です。
とはいえ、毎週書き足す必要はありません。料金を改定したときと取扱業務を増やしたときに直せば、掲載内容は実態に追いつきます。
せめてこの2点だけは、変更のたびに手を入れましょう。
行政書士のホームページ制作について解説しました
行政書士のホームページ制作は、テンプレート型なら初期2〜10万円台、オリジナル型なら10〜80万円台が開業直後の検討帯です。実績が載せられない時期でも、料金表・プロフィール・相談の流れをそろえれば依頼者の不安は減らせます。
まずは扱う業務を1〜2分野に絞り、報酬額と実費を分けた料金表を用意しましょう。あわせて確かめたいのは、弁護士法74条や職務基本規則17条に触れない文言になっているかどうかです。
制作会社に任せる範囲や補助金の使い方で迷う場合は、開業時期と予算を整理したうえで『レノワード企画』へご相談ください。
参考サイト
- 関係法規|日本行政書士会連合会
- 行政書士職務基本規則|日本行政書士会連合会
- 各都道府県の行政書士会所在地・会員数等|日本行政書士会連合会
- 報酬額の統計|日本行政書士会連合会
- 令和7年度報酬額統計調査の結果|日本行政書士会連合会
- 行政書士の業務|日本行政書士会連合会
- 弁護士法|e-Gov法令検索
- 司法書士法第73条|e-Gov法令検索
- 税理士法第52条|e-Gov法令検索
- 社会保険労務士法第27条|e-Gov法令検索
- 不当景品類及び不当表示防止法第5条|e-Gov法令検索
- No.1表示に関する実態調査について|消費者庁
- 建設業許可業者数調査の結果について|国土交通省
- 令和7年末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁
- インターネット接続端末|総務省

