弁護士のホームページ制作の費用は?相場と広告規程に強い依頼先を解説

弁護士のホームページ制作の費用は?相場と広告規程に強い依頼先を解説

紹介や国選での受任だけでは案件数が読めず、事務所のホームページを作ろうと考えていませんか?費用の相場を調べても制作会社の比較記事ばかりで、弁護士ならではの注意点までは見えてきません。

この記事では、弁護士のホームページ制作にかかる費用相場と依頼する時期、載せる項目を整理したうえで、日弁連の業務広告に関する規程で守るべき点や依頼先の選び方まで解説します。

最後まで目を通せば、予算の見通しを立てながら、規程に反しないサイトの要件を押さえた状態で依頼先を絞り込めるでしょう。

※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。

弁護士にホームページ制作が必要な理由

弁護士の受任は、これまで紹介や国選に支えられてきました。ただ、登録者数は増え続けており、相談者は依頼を決める前に事務所の情報を確かめようとするものです。

ここでは、弁護士にホームページ制作が必要になる理由を、同業者の数と相談者の行動の両面から見ていきます。

弁護士が増えて紹介だけでは足りないから

日本弁護士連合会に登録している弁護士は、2026年8月1日現在で48,089人です。弁護士白書の集計では、2000年3月31日時点が17,126人、2025年3月31日時点が46,243人となっています。

同じ地域で相続や離婚を扱う事務所が複数あれば、紹介者も「どちらを勧めるか」を選ぶ立場になります。紹介元が説明しやすい材料を用意できるかどうかが、そのまま受任数の差につながるわけです。

弁護士の業務広告は、2000年3月24日の臨時総会で会則第29条の2が改正され、原則自由になりました。それ以前は限られた媒体・限られた広告事項でしか認められていませんでした。

広告が使える前提に変わって20年以上が過ぎ、いまは事務所を知ってもらう手段を持たない状態のほうが不利になっています。

事務所を比べる材料がウェブに集まるから

日弁連は2018年1月18日から「弁護士情報提供ウェブサイトへの掲載に関する指針」を施行しました。弁護士情報を市民が閲覧できる状態に置くサイトが実際に広まり、掲載時の線引きを示す必要が生じました。

相談者はそうしたサイトで候補を知り、そのあと事務所名で検索して情報を確かめると考えられます。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年の個人のインターネット利用率は85.6%で、利用端末はスマートフォンが74.4%とパソコンの46.8%を大きく上回りました。

つまり、相談者は手元のスマートフォンで事務所を調べています。そのとき自事務所のサイトが見当たらない、あるいは10年前の情報のままだと、比較の土俵に上がれません。

弁護士のホームページ制作を依頼する時期

ホームページは、思い立ってから公開までに一定の期間が必要です。開業にあわせて公開したい場合も、古いサイトを作り直す場合も、逆算して動き出す時期を決めておくと慌てずに済みます。

ここでは、開業前の準備期間と、既存サイトを作り直す判断の目安を解説します。

開業日から逆算する準備期間

弁護士登録は弁護士会を通すため、書類提出から登録日までに時間がかかります。司法修習を終えて一斉に登録する場合、埼玉弁護士会の第77期向け案内では入会受付の締め切りが2024年12月13日、登録日が2025年3月27日と、およそ3か月半が空いていました。

すでに登録している弁護士が独立して登録換えをする場合は、東京弁護士会の2026年度入会スケジュールで書類提出から最短の登録予定日まで1か月半〜2か月ほどです。その間にドメインの取得と原稿の作成、写真の撮影を進めれば、開業日に公開できます。

逆に、登録後に慌てて動き出すと、受任が始まる時期にサイトが空白になります。取扱分野の打ち出し方は事務所の方針そのものです。原稿づくりの時間は多めに見ましょう。

制作会社への相談は、登録日の2〜3か月前が目安です。

古いサイトを作り直す目安

すでにサイトがある場合、全面的に作り直すか部分的に直すかで費用も期間も変わります。判断材料になるのは、表示の仕方と情報の中身の2つです。

作り直しを検討したい状態には、次のようなものがあります。

  • スマートフォンで表示が崩れる
  • 取扱分野や料金が現状と違う
  • 所属弁護士会の表示がない
  • 事務所側で更新できない

このうち所属弁護士会の表示がない状態は、後述する広告規程の必須表示を満たしておらず、優先して直す必要があります。表示の崩れも、相談者の多くがスマートフォンで見る以上は放置できません。

一方、デザインが好みに合わないだけなら、部分的な修正で足ります。上の4点を確認し、複数該当するなら作り直しを前提に見積もりを取りましょう。

弁護士のホームページ制作の費用相場

ホームページの費用は、初期費用だけを見ても判断できません。制作方法によって初期費用の幅が大きく、公開後にも維持費が発生し続けます。

ここでは、制作方法ごとの初期費用、月額で払うサブスク型、公開後の維持費の順に整理します。

制作方法ごとの初期費用

制作方法は、自作・フリーランスへの依頼・制作会社への依頼の3つに大きく分かれます。無料ツールを使った自作なら0円から始められ、有料ツールを使う場合は月額数千円から利用できます。

フリーランスへの依頼は10〜30万円、制作会社への依頼は30〜200万円が目安です。幅が広いのは、ページ数と、原稿や写真をどこまで任せるかで作業量が変わるためだと考えてよいでしょう。

自作と外注のどちらを選ぶかは、費用よりも時間の使い方で決めるほうが現実的です。弁護士1〜3人の事務所では、サイト制作に充てた時間がそのまま業務に使えた時間になります。

原稿だけを事務所側で書き、デザインと構築を外注する分担も可能です。見積もりを取るときは、作業範囲を明示してもらいましょう。

関連記事:ホームページ制作をフリーランスに依頼するメリットは?費用や流れも解説

サブスク型で払う月額料金

サブスク型は、初期費用を抑えて月額で払い続ける契約形態です。初期費用0円のサービスが多く、月額は小規模事業者向けで8,000円から1万円台が中心です。数千円台のプランもあり、高機能なものは3万円を超える場合もあります。

総額で比べると、月額1万円のサブスク型と初期費用30万円の買い切り型は、30か月=2年半で初期費用分がほぼ同額になる計算です。買い切り型でも保守を委託すれば月額が上乗せされるため、保守費まで含めると分岐点は先に延びます。

ただし、サブスク型には解約でサイトが公開停止になる、データが削除されるといった注意点があります。所有権が制作会社側に残る契約が中心である点も、契約前に確かめましょう。

開業直後で初期費用を抑えたい事務所には向く一方、長期の運用を前提にするなら総額の比較が必要です。

関連記事:ホームページサブスクと買い切り型の違いとは?費用や選び方を解説

公開後の維持費

公開したあとも、ドメインとサーバーの費用は毎年かかり続けます。金額は年間5,000〜20,000円ほどで、サイトの規模による差は大きくありません。

ドメインは年単位、サーバーは月単位か年単位での契約が一般的です。更新を忘れるとサイトが表示されなくなるため、支払いは自動更新にしておくと安心でしょう。

見積もりを比べるときは、初期費用だけでなく3年でいくらになるかを計算しておくと判断を誤りません。初期費用が安くても月額の保守費が高ければ、数年で逆転する場合があります。

買い切り型で制作会社に保守を任せる場合、月1万円ほどが一つの目安です。契約前に、ドメイン・サーバー・保守のそれぞれを誰が負担し、いくらかかるかを書面で確認しましょう。

弁護士のホームページ制作で載せる項目

相談者が事務所を選ぶとき、サイトに何が書かれているかは判断を大きく左右します。事務所の所在地・連絡先・アクセス方法は前提として、依頼をためらう不安に答える情報をそろえておきたいところです。

ここでは、相談につながりやすい掲載項目を3つの観点から紹介します。

取扱分野ごとの説明ページ

相談者は「この悩みを頼めるのか」を確かめたいため、取扱分野は一覧に並べるだけでなく、分野ごとに説明のページを用意しましょう。相続・離婚・交通事故・債務整理では、相談者の状況も知りたい内容も異なります。

分野ごとのページでは、どのような場面で相談できるのか、解決までにどれくらいかかるのか、費用の考え方はどうかを書きます。一般的な法律の解説より、その分野を自事務所がどう扱うかを示すほうが判断材料になるでしょう。

分野を絞って厚く書くほうが、扱える分野をすべて並べるより相談につながります。力を入れたい分野が決まっているなら、そのページから作り始めるのが現実的です。

相談料と着手金の料金表

料金がわからない事務所には、相談者は問い合わせをためらいます。初回相談が有料か無料か、着手金がいくらか、報酬金の算定方法はどうかをサイト上で示しましょう。

書き方の参考になるのが、日弁連の業務広告に関する指針が規程第9条の2(電話・電子メール等で受任する場合)について挙げる表示例です。

項目指針が挙げる表示例
着手金33万円(税込み・受任時一括払い)
報酬金甲(委任者)の得た経済的利益の12%(税別・…)
報酬金の支払時期事件処理の終了時

事案で金額が変わる場合でも、算定の考え方と見積もりの流れを書けば相談者の不安はやわらぎます。実費が別にかかる点も添えておきましょう。

なお、電話やメールで受任する場合の表示には要件が加わります。この点はのちほどオンライン相談の章で解説します。

経歴と顔写真を載せた弁護士紹介

初めて相談する弁護士がどのような人物かは、相談者の大きな関心事です。顔写真とあわせて経歴と登録年、所属弁護士会、力を入れている分野を載せると、依頼する相手の人柄が伝わります。

経歴では、修習期や前職、取り扱ってきた分野の傾向を示すと得意分野が読み取れます。ただし指針は、前職の履歴から有利な解決を示唆する表示を違反例とし「専門」「スペシャリスト」といった表示も控えるのが望ましいと述べました。

実績を数字で示す場合も、次章で扱う広告規程の制限を受ける点は同じです。写真は、スーツ姿の1枚だけでなく、相談室で話している様子など雰囲気のわかるものを添えると印象が変わります。地域密着の事務所なら、外観写真も安心材料になります。

顔写真の掲載に抵抗がある場合でも、氏名と所属弁護士会の表示は規程上の必須事項です。

弁護士のホームページ制作で守る広告規程

弁護士の業務広告は原則自由ですが、日弁連の「弁護士等の業務広告に関する規程」による制限があります。ウェブサイトも同規程の対象で、制作会社任せにすると気づかないまま違反状態になる恐れがあります。

ここでは、必須の表示事項から2026年に施行された改正点まで、制作時に確認したい規程の中身を見ていきましょう。

必ず表示する氏名と所属弁護士会

規程第9条は、弁護士が広告をするときに「氏名」と「所属弁護士会」の表示を義務づけています。職務上の氏名を使っている場合は、その氏名を表示します。

弁護士法人の場合は、名称・主たる法律事務所の名称または広告に関する従たる法律事務所の名称・所属弁護士会の3つが必要です。複数の弁護士による共同広告では、広告を代表する者がこれらを表示すれば足ります。

東京弁護士会は、事務所のウェブサイトに所属弁護士会の表示がないものは違反広告にあたると注意を促しました。実際、事務所名と住所だけを載せて所属弁護士会を書いていないサイトは少なくありません。

バナー広告については、クリックした先の必ず表示されるページに責任者である弁護士等の氏名と所属弁護士会があれば、バナー自体への表示は求められません。

禁止される7つの広告

規程第3条は、してはならない広告を7つ挙げています。制作会社が用意した文言が当てはまらないか、公開前に照らし合わせましょう。

禁止される広告
1号事実に合致していない広告
2号誤導または誤認のおそれのある広告
3号誇大または過度な期待を抱かせる広告
4号困惑させ、または過度な不安をあおる広告
5号特定の弁護士等またはその事務所と比較した広告
6号法令・会則・会規に違反する広告
7号弁護士等の品位または信用を損なうおそれのある広告

注意したいのは5号で、禁止されるのは特定の同業者や事務所と比べる広告です。名前を出さなくても、表現全体からどの事務所を指すかわかれば同じ扱いです。費用の比較を一律に禁じる条文ではありません。

つまずきやすいのは3号と4号です。「必ず解決」「今すぐ相談しないと手遅れ」が該当します。

同意なく載せられない4つの事項

規程第4条は、広告に表示できない事項を4つ定めています。実績を打ち出したいときにつまずきやすい部分です。

表示できない事項は、次のとおりです。

  • 訴訟の勝訴率
  • 顧問先または依頼者
  • 受任中の事件
  • 過去に取り扱い、または関与した事件

このうち後ろの3つは、書面または電磁的方法による依頼者の同意があれば表示できます。ただし訴訟の勝訴率は、同意があっても表示できません。算定の前提で数字が大きく変わり、相談者を誤らせる恐れがあるためです。

受任中の事件と過去の事件には、依頼者が特定されず利益を損なうおそれがない場合や広く一般に知られている場合は除外事由にあたりますが、日弁連の指針はその場合も同意取得に努めるよう求めています。制作会社に原稿を任せるときも、この線引きは事務所側で押さえておきましょう。

2026年に施行された改正点

規程は2025年12月5日に改正され、その一部が2026年に施行されました。制作会社の説明や既存の解説記事が改正前のままの場合があるため、確認しておきたい点です。

2026年4月1日には第4条2号から4号などが施行され、依頼者の同意の取り方に「電磁的方法」が加わりました。従来は書面による同意が必要でしたが、電子メールの送信でも同意を得られます。

続いて2026年7月1日には第11条が施行され、広告の保存義務の対象に広告業者との契約書とその契約に関する入出金の記録が加わりました。

経過措置により、契約書の保存は7月1日前に終了した広告には、入出金記録の保存は同日前の入出金には適用されません。ただし、施行日をまたいで公開が続くサイトは契約が施行日前でも保存対象です。

弁護士が解決事例を載せるときの注意点

解決事例は、相談者が「この悩みも扱ってもらえそうか」を判断する材料になります。一方で、規程と守秘義務の両方がかかるため、載せ方を誤ると違反広告になる恐れがあります。

ここでは、事例を載せるときに押さえておきたい3つの注意点を見ていきましょう。

架空の事例による違反リスク

日弁連の指針は、架空の事例を解決事例として記載する行為を、規程第3条1号の「事実に合致していない広告」の例に挙げています。解決できた事例であっても、表示したとおりの解決ができなかった事例を脚色して書く場合も同じ扱いです。

東京弁護士会も、シミュレーションや机上事例といった実際に取り扱っていない事例を解決事例として表示するのは違反広告だと注意を促しました。開業直後で事例が少ないときほど、この書き方に流れやすくなります。

指針は「お客様の声」についても、実在の依頼者が関与していない文章の記載を違反例としました。相談の申し込みだけで回答していないものや、事務局が答えたものを法律相談実績に数えるのも同様です。

事例が少ない段階では、数を並べるより扱える分野の考え方を丁寧に書くほうが安全です。

依頼者から同意を取る手順

規程は、過去に取り扱った事件を載せる際に依頼者の書面または電磁的方法による同意を求めています。指針は顧問先や依頼者を表示する場合の同意について「同意の範囲」「有効期限」その他必要な事項を明示して得なければならないと定めており、解決事例でも同じ水準で取っておくと安全です。

明示すべき内容には、どのページに載せるのか、どこまで書くのか、いつまで掲載するのかが含まれます。掲載をやめてほしいと求められた場合の扱いも、あわせて決めておきましょう。

同意の方法は、2026年4月1日施行の改正で電磁的方法も認められました。電子メールの送信などがこれにあたるため、事件終了時のやり取りの中で同意を取る流れを作りやすくなっています。

依頼者が特定されない書き方

同意を得た事例であっても、書き方によっては依頼者が特定されてしまいます。指針は、依頼者名が表示されていないだけでは足りず、依頼者が実際に特定されていないかを事案ごとに判断すると示しました。

地域が限られる事務所では、この判断がとりわけ重要になります。自治体名・業種・家族構成・事件の時期を組み合わせると、地元では人物が絞り込めてしまう場合もあります。

事例を書くときは、次の点を抽象化しておきましょう。

  • 地名は都道府県までにとどめる
  • 年齢は10歳刻みで示す
  • 職業は業種の大分類で書く
  • 金額は概数に丸める

相談者が知りたいのは、似た状況にどう対応したかであり、依頼者が誰かではありません。事案の筋道と対応の考え方を書けば、判断材料としては十分に機能します。

ホームページ制作後に弁護士が残す広告記録

広告規程は、公開した広告を一定期間保存する義務も定めています。ウェブサイトは公開したら終わりではなく、記録を残す運用まで含めて広告として扱われるためです。

ここでは、保存の対象と期間、外部業者を使う場合に必要な資料を解説します。

3年間の保存が必要な対象

規程第11条は、広告の内容を広告終了時から3年間保存するよう定めています。紙媒体だけでなく、ウェブサイトを利用した広告も対象です。

日弁連の指針は保存の方法として、リンク先のURLを含めたデータ、またはプリントアウトした印刷物を保存すると示しました。サイトを更新すると前の表示は残らないため、更新のたびに記録を取る運用が要ります。

保存対象には、規程第4条2号から4号の同意を証する書面または電磁的記録も含まれます。さらに、2026年7月1日施行の改正で広告業者との契約書とその契約に関する入出金の記録も加わりました。

事務所側では、更新のたびに全ページを印刷して保管するより、制作会社に更新履歴とデータの保存を依頼するほうが続けやすいでしょう。

SEO業者を使う場合の資料

指針は、SEO対策やアフィリエイトのために第三者が管理するウェブサイト等を利用する場合、その広告配信方針や報酬発生の条件等を記載した資料を保存すると規定しました。広告業者が配信等を第三者に再委託する場合も同様の扱いです。

つまり、検索順位を上げるために外部の業者へ依頼するなら、どのような方針でどこに掲載され、どういう条件で報酬が発生するのかを書面かデータで受け取っておく必要があります。口頭の説明だけでは資料が残りません。

この点は発注の段階で確認するほうが確実です。契約後に「配信先の一覧をください」と頼んでも、業者側の体制によっては出せない場合があります。

見積書と契約書に配信方針と報酬条件の記載があるかを、発注前に確かめましょう。

分野別に分ける弁護士のホームページ制作

弁護士のサイトには、事務所全体を紹介するものと、特定分野に絞ったものの2種類があります。分けるかどうかは事務所の方針次第ですが、それぞれが担う役割は異なります。

ここでは、2つのサイトがそれぞれ何を担うのかを整理していきましょう。

事務所サイトが担う信頼の証明

事務所サイトは、事務所の存在と体制を示す役割を担います。紹介や名前検索で訪れた相談者が、実在する事務所かどうか、どこにあり誰がいるのかを確かめる場所です。

総務省の令和6年通信利用動向調査によると、自社のホームページを開設している企業の割合は93.2%でした。常用雇用者100人以上の企業を対象とした調査で法律事務所の数値ではありませんが、事業者にとってサイトの開設が当たり前になっている状況がうかがえます。

出発点は、事務所概要・所属弁護士・取扱分野・アクセス・問い合わせ先の5点です。サイトがない、または名刺の情報を並べただけの状態では、相談者は判断材料を得られないまま次の候補へ移ります。

分野別サイトが担う相談の集客

交通事故や相続など分野ごとに専用サイトを立て、事務所サイトと役割を分ける手法があります。制作会社の提案として一般的です。分野ごとに相談者の関心が違うため、内容を絞るほうが伝わります。

ただし、分野別サイトを別に作る場合も、それぞれに規程第9条の必須表示が要ります。氏名と所属弁護士会の表示も、サイトの数だけ確認対象が増える点に注意しましょう。

外部の弁護士情報提供サイトへの掲載には、別の注意点があります。日弁連の指針は、掲載料が紹介を受けた事件数や弁護士報酬の額で決まる場合、報酬目的があると認められるとしました。

一方、掲載期間やスペースに応じた定額の対価にとどまるなら、周旋の対価ではないとも書かれています。ただし、定額性は総合判断の一要素で、紹介の性格が強ければ定額でも対価と評価されます。

地域の相談者に届く弁護士のホームページ制作

地域で事務所を構える場合、全国に向けて発信するより、商圏の相談者に届く作りにするほうが受任につながります。大規模なサイトを用意しなくても、構成の工夫で対応できる部分があります。

ここでは、地域の相談者に見つけてもらうためのページ構成と、相談前の不安に答える情報を見ていきましょう。

地域名と分野を組み合わせたページ

相談者は地域名と相談したい分野を組み合わせて探すため、その両方が読めるページを用意しておきましょう。事務所がどの範囲を商圏としているのかが、相談者にとって最初の絞り込み条件になります。

対応エリアのページを作り、自治体名と最寄り駅、来所にかかるおおよその時間を書いておくと判断しやすくなります。分野別のページにも、その地域での相談で多い状況を添えると内容が伝わりやすくなるでしょう。

閲覧の多くはスマートフォンです。地図と電話番号は上部に置き、タップで発信できるようにしておくと問い合わせの手間が減ります。文字サイズと行間も、スマートフォンで読める設定にしておきましょう。

地域を絞ると対象を狭めるようですが、実際には相談者にとって選びやすい情報になります。

相談前の不安に答える情報

相談者は、法律相談の費用がいくらかかるのか、どのように話せばよいのかがわからないまま申し込みます。この不安を先に解いておくと、問い合わせのハードルが下がります。

相談の流れを、予約・持ち物・当日の時間・その後の進み方まで書いておきましょう。初回相談が有料か無料か、時間はどれくらいか、ご家族が同席できるかも、相談者が気にする点です。

電話や電子メールその他の通信手段で法律事務を受任する広告をするときは、規程第9条の2により追加の表示が要ります。受任する法律事務の表示と範囲、報酬の種類・金額・算定方法・支払時期、委任事務が終了するまで契約を解除できる旨と中途終了時の清算方法の3つです。

オンライン相談を売りにする事務所サイトでは、この3点をページ内に置いておきましょう。

弁護士のホームページ制作後の更新体制

公開したサイトは、時間が経つほど情報が古くなります。取扱分野や料金が変わっても直せない状態が続くと、相談者の判断を誤らせる恐れがあります。

ここでは、事務所側で続けられる更新の範囲と、制作会社に任せる保守の内容を分けて見ていきましょう。

事務所で続けられる更新の範囲

弁護士1〜3人の事務所では、更新に割ける時間は限られます。全ページを事務所側で管理しようとすると、結局どこも直さないまま止まりがちです。

更新の対象を、料金・取扱分野・弁護士紹介・お知らせの4つに絞ると続けやすくなります。このうち料金と取扱分野は、内容が古いままだと相談者に誤解を与えるため、優先して直しましょう。

コラムや解決事例の追加は、書ける余裕があるときに進めれば足ります。無理に本数を目標にすると、更新そのものが負担になって止まります。

契約前に、どのページを事務所側で直せるようにするかを制作会社と話し合っておくと安心です。

制作会社に任せる保守の内容

保守は、見た目の更新だけでなくサイトを安全に動かし続ける作業を含みます。ここは事務所側で対応しきれない部分なので、契約内容を確かめておく必要があります。

情報処理推進機構の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」は、ソフトウェアの脆弱性への対応や通信内容の暗号化を挙げました。不要なページやアカウントの削除、ログの保管と確認、セキュリティ診断も項目に含まれます。

クラウドのサービスを使う場合は、自事務所の責任範囲を把握したうえで必要な対策を実施するようにとも書かれています。誰がどこまで見るのかを、契約書で取り決めておきましょう。

これらは専門の知識が要るため、保守契約の範囲に含まれているかを見積もりの段階で確かめます。保守費用は月1万円ほどが目安ですが、対応範囲によって変わります。

弁護士のホームページ制作会社の選び方

制作会社は数多くありますが、弁護士のサイトを作れるかどうかは別の問題です。デザインの良し悪しだけで選ぶと、公開後に規程への対応で手戻りが生じます。

ここでは、問い合わせや打ち合わせの段階で確かめておきたい3点を解説します。

士業の制作実績を件数で確かめる

制作実績は「士業に強い」の表記だけでなく、件数と分野を聞いて確かめます。弁護士・司法書士・税理士のどの分野を何件手がけたのかを尋ねると、経験の厚みが見えるでしょう。

実績ページに掲載されているサイトを実際に開き、所属弁護士会の表示や料金の書き方を確認します。規程に沿った作りになっているかは、その会社が過去に作ったサイトを見れば判断できるでしょう。

士業以外の実績しかない会社が悪いわけではありませんが、その場合は規程の説明を事務所側から補う手間が発生します。打ち合わせに割ける時間と相談しながら決めましょう。

実績の件数は、見積書と一緒に書面でもらっておくとあとから確認できます。

関連記事:士業のホームページ制作の費用相場は?格安と集客型の違いを解説

広告規程を理解しているか質問する

打ち合わせの場で、制作会社が業務広告に関する規程を知っているかを直接尋ねます。「弁護士のサイトで表示が義務づけられている事項をご存じですか」と聞けば、理解の程度がわかります。

氏名と所属弁護士会が挙がれば、最低限の理解はあると考えてよいでしょう。実績や事例の掲載に同意が必要な点まで説明できる会社なら、原稿づくりの段階から任せられます。

規程を知らない会社に依頼するなら、原稿の確認は事務所側が担う前提にし、その分の時間を見込んでおきます。集客に強いコピーほど、誇大な表現や不安をあおる表現に寄りやすいためです。

公開前に事務所側で全ページを確認する工程を、契約時に組み込んでおきましょう。

広告記録の保存に対応できるか聞く

2026年7月1日施行の改正で保存対象が広がったため、記録の残し方まで対応できる会社を選びましょう。料金や取扱分野など重要な内容を変更したときに、リンク先URLを含むデータを変更の前後で保存できるかを確認します。

SEO対策を同じ会社に依頼する場合は、広告配信方針と報酬発生の条件を記載した資料を出せるかも聞いておきましょう。これらは指針が保存を求めている資料であり、事務所側が保存義務を負う点は変わりません。

契約書と請求書の控えは事務所側で保管しますが、サイトの表示内容は制作会社側にデータが残ります。どちらが何を保存するかを分担として取り決めておくとあとで困りません。

見積もりの比較では、この保存対応まで含めた金額かどうかをそろえて確かめます。

関連記事:ホームページ制作会社の選び方7基準|費用相場と契約の注意点も解説

弁護士のホームページ制作でよくある質問

ここまで費用・掲載内容・規程・依頼先を見てきましたが、進めるうえで細かい疑問も出てきます。最後に、相談の際によく出る質問にお答えします。

補助金は弁護士でも使える?

小規模事業者持続化補助金は、補助対象者に士業法人が明記されており、弁護士も対象です。小規模事業者の定義はサービス業で従業員5人以下で、数えるのは弁護士の人数ではなく事務職員を含む常時使用する従業員数です(会社役員と同居の親族は除く)。

ただし、ウェブサイト関連費だけでの申請はできず、ほかの経費とあわせて申請します。この経費の交付申請額の上限は30万円(税込)です。第20回公募の受付は2026年11月5日から12月15日17時までですが、予定は変わる場合があります。

なお、旧「IT導入補助金」は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金2026」に変わりました。補助の対象は登録済みITツールの導入費用に限られるため、事務所紹介サイトの制作費は補助を受けられません。

制作会社に原稿も任せられる?

原稿の作成を含むプランを用意している会社は多く、ヒアリングをもとに書いてもらえます。ただし、弁護士のサイトでは事務所側の確認が必要です。

規程で禁止される表現や、同意なく載せられない事項の判断は、条文を知っている事務所側でなければ最終的な線引きができません。取扱分野の説明も、実務で扱える範囲と一致しているかは弁護士本人しか判断できないでしょう。

現実的なのは、取扱分野と料金の考え方だけを事務所側で書き、それ以外を制作会社に任せる分担です。原稿の確認にかかる時間も、スケジュールに入れておきましょう。

弁護士のホームページ制作のまとめ

弁護士のホームページ制作は、制作方法によって初期費用が0円から200万円まで幅があり、公開後も維持費がかかり続けます。総額で比較するには、3年程度の期間で計算するのが現実的です。

制作で必ず押さえたいのが、日弁連の業務広告に関する規程への対応です。氏名と所属弁護士会の表示、禁止される7つの広告、表示できない4つの事項(勝訴率は同意があっても不可)、広告の3年間保存は制作会社任せにできません。

まずは自事務所のサイトに所属弁護士会の表示があるかを確かめ、次に料金と取扱分野が現状と合っているかを見直しましょう。そのうえで、士業の実績と規程への理解がある依頼先を探す流れになります。

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参考サイト

この記事を書いた人

レノワード企画 代表

Webライター・ディレクター歴5年以上。SEO記事1,000本以上の執筆経験と、Google認定の専門資格をもとに、この記事を執筆しています。元介護福祉士(介護現場11年)。埼玉・杉戸町/春日部市近隣を中心に、ホームページからチラシ・名刺まで一人で一貫制作しています。

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